8.商品・サービスの販売価格設定

Price

販売価格の設定は、前回の記事の採算(コストの見積もり)とは異なります。
コストというのは、商品を作って販売するために、どれだけのお金が掛かるのかを示すものです。
一方、販売価格というのは、そのコストのほかに、人々が知覚する価値や市場の需要など、さまざまな外部的要因を考慮に入れて戦略的、政策的に設定するものなのです。

本章は、「3.予備的な市場調査」、「7.商品・サービスの採算」、とも関連する内容になっていますので、必要に応じて見返してください。
デザインやイラストの見積り金額をどのように設定したら良いか分からないという方は必見です!

作品を販売する際に考慮すべき基本事項

まずは、以下の内容を考えてみましょう!

  • あなたの作品の市場価値は、いかほどでしょうか? つまり、いくらで売れるのでしょうか?
    あなたと同じタイプの商品やサービスは、いくらくらいで販売・提供されていますか?(ファーストデザインで他のクリエイターと比較してみましょう ⇒クリエイタープロフィール検索
    競合相手よりも高い価格をつけたい場合、その価格差をどのように説明できるでしょうか?
  • 顧客が何を求めていて、それに対してあなたが何を提供できるのか、ハッキリと理解する必要があります。
    そうしてはじめて、あなたは自分の作品に「価値」(すなわち販売価格)を設定することができるのです!
  • その自分の価値を、あなたはいかにして顧客に納得させるのでしょうか?
    たとえば消費者は一般に、アクリル製ブレスレットよりもシルバー製ブレスレットのほうが価値が高いと考えるでしょう。
    たとえシルバーのほうは1時間でできた大量生産品で、アクリルのほうはあなたが2日間かけて仕上げた手作り品であったとしても。
    制作受注についても、同じ事がいえます。
    販売価格の設定においては、そういったことも考慮する必要があるのです。
  • 販売価格はわかりやすいように切り上げるべし。
    たとえば、48,730円 よりも 49,000円 にしましょう。丸い数字のほうが計算もラクです。
  • 販売価格については隠しだてせずに、堂々と説明しましょう!
  • 販売活動に別途掛かる費用については、それも販売価格の中に織り込む必要があります。
    たとえば、商品の展示や営業に掛かる費用などがあれば、それも販売価格の中に含めておくことを忘れずに。
    ファーストデザインのように、第三者を通じて受注している場合は、その代理手数料やコミッションを価格の中に織り込むべきでしょう。

作品を販売する際に考慮すべき基本事項

あなたは、2種類の価格を設定する必要があります。

◆卸売価格
「卸売価格」とは、あなたが業者(小売業者や制作代理店、ファーストデザインなど)に対して販売するときの価格です。
(コスト)+(あなたの利益)といったところでしょう。
卸売価格の中には、小売マージンは含めません。
それから、卸売価格は一般消費者やエンドクライアントに知られないように注意すべきです。

◆小売価格
小売価格とは、一般消費者やエンドクライアントに対して販売するときの価格です。
すなわち、ショップやギャラリーなど小売業者の店頭や、制作代理店やファーストデザインにてクライアントに提示される価格です。
小売業者や代理店は、販売に掛かるコストを賄うために、上記の卸売価格に自分たちのマージンを乗せます。
この小売マージンは、卸値の100%の場合もあれば250%の場合もあるし、さらに多い場合もあるでしょう。(ファーストデザインでは30%です。)
もしあなたが自分で一般消費者やエンドクライアントに販売するならば、あなた自身が卸値に小売マージンを上乗せする必要があります。
自分の作品について安定した市場価値を維持するためにも、小売価格はできる限り一定レベルに保つべきなのです。
小売業者や代理店があなたの作品をいくらで販売しているかも常にチェックすべきでしょう。

売上について

単純に言えば、売上 = 販売単価 × 販売数量 です。
売上について、以下の点を検討してみましょう。

  • 自分自身のの損益分岐点をしっかりと認識すべし。
    損益分岐点に達するためには、商品やサービスをいくらで、どれだけ売らなければならないでしょうか?
    当然のことですが、販売単価が高いほど、損益分岐点に達するまでの販売数量は少なくてすみます。※損益分岐点というのは、前回も説明したとおり、黒字(利益が出る)と赤字(損失が生じる)の分かれ目となる売上高のことです。
    つまり、売上高=総コスト となるポイントのことです。
  • あなたの生産能力はいかほどでしょうか?
    もし制作できる数量に限界があるならば、それですべてのコストをまかなうために、販売単価を高めに設定しなければなりません。
    あるいは、コストを削減して市場が要求する値ごろ感に合わせるために、あなたは制作工程を見直す必要があるかもしれません。
  • 大口注文や早期支払を促すために、割引をすることができるでしょうか?
  • 生産効率の観点から、あなたの販売価格は顧客に対して「最低発注数量」を設定する必要がないでしょうか?

代金請求について

  • あなたは、場合によっては値引きをする予定でしょうか?
    もしそうならば、販売価格設定の際にその値引きを織り込んで計算しておかないと、気づいたら思わぬ損失を被ることになるでしょう。
  • あなたの販売価格は、商品をどこで引き渡す条件で計算していますか? 顧客まで届けるならば、そこまでの配送コストも含めること。
  • 顧客があなたにお金を支払ってくれるまでに、どれだけの期間を要するか確認しましょう。
    顧客からあなたへ代金が入ってくるよりも前に、もしあなたから対外的に支払うべき費用があると、よそからそのお金を借りることになるかもしれません!

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!料金設定の参考になりましたでしょうか。
次回は、「9.自らのデザインを守る」として、著作権や意匠登録について触れていきます。
記事に誤りなどがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。また、ご意見・ご感想などもお気軽にお寄せください。
「こんな内容の記事を書いて欲しい」「こんなことで悩んでいる」などのご要望やご相談もお気軽に!

この記事の著者

藤田 健プランニングディレクター

Skillotsを含むエフ・プラット株式会社の全てのサービスの企画・運営責任者。
神奈川県出身・中野区在住。

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