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Text Works

kindle小説「アナザースフィアトレゾン」 冒頭

 先の見えない暗闇の中、ひたすらコフィンを走行させ続ける。目的地さえわからないまま。
 何もかもを知り、追い詰められたとき、俺は全力で逃げ出した。これまでに獲得してきた多くの物を捨て、ただ一つのものを守るために。
 共にいることを選択した相手――カレン向かって、俺は勇気づけた。
「カレン……必ず、出口を見つけて見せるから」
「うん……」
 俺が座る操縦席の隣には、仄かに青白く光り輝く少女が、ぐったりと背もたれに寄りかかっていた。美しい少女だ。その体から溢れ出す光の粒子のようなものが、わずかにコックピット内を照らしている。
 この子と出会ったのは、俺がこの職に就いた日のことだった。
 二足歩行型採掘兵器〈コフィン〉――俺はこの機体のパイロットとして、ここ〈アナザースフィア〉に派遣された。
 実力が認められた者たち揃いのアルファ小隊に所属するという栄光を得たことが、この悲劇につながった。
 思えば、この仄かに輝く少女、カレンとの出会いが全てを狂わせる発端だったのだろう。共に働く仲間たちに出会い、戦わねばならない敵が現れ、事態は混沌の中に飲み込まれた。
 やつは俺たちが抹消されるまで、その瞬間をその目で確認するまで追いかけてくる。そういう確信めいた予感が余計に焦りを募らせていた。
 その時が運命の分岐点だ。勝ち目があるとは思えないが、覚悟だけはあった。
 俺は戦う理由を見つけた。この子のためなら、俺はもう躊躇わない。
「カレン……ここを出たら、自由になれる」
「コウが、わたしの自由を作ってくれる?」
「そうだ。もう何のしがらみにも囚われない。この先には、俺たちだけの世界が待ってる」
 俺はそう呟いて、コフィンをひたすら前進させ続ける。どうして自分がこの暗闇に閉じ込められることになったのか、ここに至る旅路を思い出しながら。

ノクターンノベルズ「グラビアアイドルが義姉になった!」一部抜粋

額の辺りがくすぐったい。何かが、優しく振れた。僕の髪を横に払ったみたいだ。
(温かくて、優しい感触……)
 僕は目を覚ましながらも、寝たふりを続けた。身体のすぐ近くで、他の人がごそごそと動いているのがわかる。ソファに右腕を下にして寝転んでいる僕の正面だ。

「ふふっ……気持ちよさそうに寝てる」

 小さく、楽しげな女の人の声が聞こえた。息があたる感触がある。
 おまけにいい匂いがする。それは普段よく匂いで、嗅いでいるだけで興奮してくる匂いだった。
 そう、優美さんの香りだ。
 瞳を開けると、思った通り優美さんがそこにいた。僕と向かい合う形で、寝転んでいた。おかしそうに、くすりとほほ笑んでこう言った。

「おはよう、直人。昨日はよく眠れた?」

 エプロンを着けた家庭的な姿で、髪を後ろに束ねている。料理が上手な優美さんは、親がいないときはいつも、朝ごはんを僕と陽菜ちゃんのために作ってくれていた。
 俺はとにかく、こんなに近くで話しかけられると、ドキドキして仕方なかった。

「眠れました、優美姉さん……その恰好、やっぱり似合ってます……」
「本当? 直人の朝ごはん作っちゃったのに、全然起きてくれないから、そのままの恰好で起こしに来ちゃった」
「そういえば、エプロン姿を披露してる作品、いくつかありましたよね」
「もう、直人ったらわたしの作品、全部覚えてくれてるの?」

 優美さんは嬉しそうに笑って、そっと俺を抱き寄せた。身体が密着して、温かさが伝わってくる。
 おまけに、柔らかい感触が、俺の胸のところに当たっていた。
(優美さん、そんなことしたら……)
 最初から朝立ちしていた股間が、さらにガチガチに固くなっていく。
 こういうことはよくあることだ。優美さんはたまに朝シャワーを浴びているけど、その時はいつもタオル姿で歩き回っている。朝ごはんを食べている最中に勃起して、それを陽菜に見つかって、恥ずかしそうに顔を赤くされるのは日常茶飯事だ。
 そこで気づいた。この状況なら飛んでくるはずの「お姉ちゃん、朝からそんなことしたらダメだよ!」という声がない。抱き着かれたまま、聞いてみる。

「あれ、陽菜ちゃんは……?」
「陽菜、今日は朝早いんだって。時計見てごらん? こんなに早いけど、学校に行っちゃったの。だから直人はもう少し寝ていても大丈夫なんだけど、起こしちゃった。ごめんね?」
「優美姉さんに起こしてもらえるなら、全然OKです……」
「ふふ。直人ならそう言ってくれると思った」

 優美さんは僕の頭を優しく撫でてくれた。溶けてしまいそうだ。
 きっと今、俺はばかみたいにゆるんだ顔をしてるんだろうな、と思っていると、優美さんはもぞもぞと太ももを動かした。

「あ、優美さん……」

 思わずそう声を漏らしてしまったのは、その太ももが、さっきからずっと僕の股間に当たっていたせいだ。感触を確かめるように、こすりつけてくる。

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