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自己紹介

はじめまして、有広ひろやと申します。
当方は20代前半の女性。
普段は駆け出しのシナリオライターをしております。
時折記事作成も行っていますが、
現在メインでお受けしているお仕事は男性、女性向け問わず音声作品の台本作成や小説の執筆です。

  • スペシャリストID:23459
  • 性別:女
  • 年齢:非公開
  • 活動年月:0年
  • 活動拠点:東京都
  • 最終ログイン:1週間以内

登録作品

全年齢女性向け音声作品サンプル


―――――――――――――――――――――――
●鎖愛-クサリアイ- 愛に繋がれた男たち
―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――
●ジャンル:女性向けシチュエーション音声作品
●制作者:有広ひろや
―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――
●キャラクター
―――――――――――――――――――――――
橘 優作 (たちばな ゆうさく)
年齢:32
一人称:俺 二人称:お前
イケメン先生。生徒に対してとても熱心に向き合い、男女問わず人気がある。
真面目さゆえに言い方を厳しくすることもあるが、決して突き放すような真似もしない。
まるで兄のように接し、慕われている。
―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――
●あらすじ
―――――――――――――――――――――――
放課後になり、女子生徒が教室に居残り勉強をしていた様子に気が付いた優作。
彼は生徒に声をかけると、疑問点があるからと言われそのまま残ることに。
だがその女子生徒は優作に気があり、思わぬ事態に巻き込まれることになってしまうのだった。
―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――
●以下サンプルシナリオ

※イメージを伝えやすくするため、生徒の台詞を()書きで記載しています。

【SE:雨音】
【SE:学校のチャイム音】
【SE:廊下を歩く音】

  放課後、職員室から担当の教室へと歩いてきた先生、橘優作(たちばなゆうさく)が居残りをしている女子生徒に気が付く。

【SE:ドアを開く音】

優作(32)
「なんだ、まだ残ってるのか」

(期末テストも近いですから)

「(※微笑みながら)勉強熱心なのはイイことだ」

「邪魔なら出て行こうか?」

(ちょっとだけ……いてもらってもいいですか?)

「いて欲しいって……どうした、なにかあったのか?」

(あの橘先生、どうしても分からないところがあるんですけど……)

【SE:教科書を広げる音】

「ん? なんだ、ここが分からねぇのか? りょうかい。放課後の特別授業だ。他にも分からない点があればなんでも聞くように!」

(はい! ありがとうございます)

「いい返事だ! はじめるぞ!」

【SE:椅子を引く音】 (橘、椅子に座る)
【SE:ノートを開く音】
【SE:シャーペンを走らせる音】

(こんな感じ、ですか?)

「そうそう、この問題にはこっちの公式を当てはめて……そうだ、それでいい」
※教科書の内容を指さしているような感じで

(あっ、よかった! やっぱり先生に聞いてよかったです。ありがとうございます)

「いや、礼を言われるようなことでもねーよ」

「生徒たちからの疑問点に答えてあげるのが教師の役目だし」

「なにより……授業中にお前ら生徒全員の理解速度を把握してあげられればいいんだが……すまん、まだ俺が未熟なばっかりに」

(そんなことないですよ! 私がどうしても数学は苦手で……)

「数学が苦手だろうが、他の教科が苦手だろうがきちんと理解してもらえるようにやらなくちゃならない。それが教師だ」

「お前みたいに全員が全員きちんと復習をするわけでもないし、可能な限りは教え込みたいんだが……」

(あの! 私先生のおかげで苦手な数学を少しずつ好きになってきたんです!)

※微笑みながら
「ありがとよ。一人ずつでも数学が好きだーって言ってくれる生徒が出てきてくれたら、俺はそれだけで嬉しいよ」

※生徒の頭を撫でる優作
「って、どうしたお前、顔が真っ赤だぞ?」

(先生の手があったかくて……)

「あっ、す、すまん! 俺、癖なんだよ……下に兄弟が多いせいか、頑張ってる奴を前にするとつい……頭を撫でてやりたくなるっていうかさ」

「イヤだったよな? 本当に……すまん」

(全然イヤなんかじゃないです。それどころか嬉しい)

「はぁ? 嬉しいってお前、俺はいい年したおじさんだぞ? お前からすりゃお父さんとのほうが年齢も近かいし」

「あんまりおじさんを喜ばせるんじゃねーよ」

(もしかして照れてるんですか?)

「(※若干照れながら)はぁ? 別に照れてなんかねーよ」

(照れてるじゃないですか! 先生、可愛い)

「だからおじさんをからかうなって! 俺はこれでもお前の教師だ。可愛いとか、アホか……」

(やっぱり恥ずかしがってる)

「恥ずかしくもなんともねーよ!」

(せーんせ)

「ほんっといい加減に──」

【SE:椅子を蹴り上げてしまう音】

「(※キス音)……お、おい……お前、なにして」

「お前さ、今、何したか分かってんのかよ」

(キスしました)

「あぁ、そうだ。お前はいきなり、おでこにとは言え、俺にキスしてきやがった」

(いけないことですか?)

「……ダメに決まってんだろうが! 俺とお前は教師と学生。普通はキスをするような間柄じゃねーの」

(先生、男子高校生みたい。今時キスくらい普通にしますよ)

「普通とか、言うな。好きでもない奴とキスなんてしない」

(大丈夫ですよ。先生、さっき自分で言ったじゃないですか。おでこに、って)

「おでこだろうが、唇だろうが……許されたことじゃねー」

(先生と同じです)

「なにが……俺と同じってどういう意味だ」

(先生が私の頭を撫でてくれたのと一緒です)

「……一緒にすんじゃねーよ」

(つい、ですよ。先生が必死になって反論をするから面白くなってきちゃって)

「俺は……」
※反論したくはなるが、気持ちを抑え込むように

【SE:廊下を走る音】

「だ、だれか来るのか……!?」

【SE:扉を開く音】_隣の部屋から聞こえてくる 

(先生、よかったですね)

「っ、あぁ、よかったよ。ここに入ってくんのかと思った……くそ──」

【SE:廊下を走る音】

「っ、はぁ……(深呼吸)」

(他の生徒に見つかったらどうしましょっか? 私からキスをしたとしても、処罰を受けるのは先生だったりして?)

「お前、何考えて……! 俺らがキスしちまってんの見つかったら、クビなんかじゃ済まねーよ」

(そうですよね。でも仮に逮捕されたとしても……実名では報道されないでしょう?)

「……この状況で何笑ってんだ、頭大丈夫か、お前……」

(楽しいんですよ。だって私次第じゃないですか)

「この状況がお前次第って、何を考えてるんだよ!」

(私が両親や他の先生に、本当に先生を愛していたんですって話せば何かしら変わるかもしれない)

「……ごくり(※喉を鳴らす)」

(先生、私の条件、飲んでくれますか?)

「条件、だと?」

(そうです。絶対に見つからないように努力をしてもらうことにはなりますけど、先生が私と付き合ってくれるのであれば……先生を悪いようにはしませんから)

「お前と付き合う? それが条件なのか」

「そんな条件でも飲んでしまえばで……俺は」

(先生を警察になんか突き出したりしません」

「本当か? 今日のことも誰にも言わないでくれるのか? お前が俺にキスをしたことを? ただ居残ってた生徒のために教えてたってだけになるんだよな?」

(もちろんです。あれは私からのキス、贈り物だと考えてくださって結構です)

「ならよかった……いや、いいわけがねーよな……これじゃあお前の筋書き通りってか?」

(えぇ。そうです。先生は私の言う通りにしなくちゃいけない)

「脅しのつもりか? しがない教師を脅して、何が目的なんだよ」

(何度も言っているじゃないですか。私は先生のことが好きなんだって)

「好きだからって、こんなことしないだろうが」

(私は先生と健全なお付き合いがしたい、ただそれだけなんですよ)

「健全な付き合いがしたかったとしても、変に脅すような真似もしなければ……もっと他にやりかたが……!」

(ふふっ、私とあなたは生徒と先生ですよ? 普通のやり方で付き合えるとは思えない)

(……そもそも私は普通じゃないんです)

「まぁお前の言う通り、先生と生徒の間柄で普通に付き合うなんてのは……無理、だよな。それでも俺はこんなやり方は最低だと思うぞ」

「なんでこんなやり方をするんだ!」

(なんとでも言って下さい。私は先生を得ることができればなんでもいいんです)

「おい、人の話を……!」

(だから先生、さっきのキスは私からの贈り物です)

「……あのキスが……贈り物?」

(もう何度も言わせないでくださいよ。私は先生のことが大好きですから)

「俺のことが好きだからって、キスを?」

(えぇそうです)

「仮にお前が俺のことを好きだったとして、そんな相手を貶めるような真似は普通しないだろうが」

(私は普通のつもりですよ? だって私はただ先生のことを愛しているだけですから)

(ねぇ、先生、今後私の下僕として、私を愛してくれると誓ってくれますか?)

「……下僕だとか、言わないんだよ……」

(普通は、ですか?)

「普通は、な」

(私のことは普通じゃないと思っていただいて構いません。それでも)

「私は先生のことが好き、ね……」

「困った生徒に好かれちまったもんだな、俺も」

(のみますか? のみませんか?)

「……いつかお前は、俺を保身のために女子高生に手を出した最低な男だと罵るだろう。それでも俺は……」

「お前の話にのってやるよ」

(ふふっ、ありがとうございます。先生)

「ただ……」

(ただ、なんですか?)

「学校の中にいる間だけは……教師と生徒、じゃダメか?」

(えぇ、いいですよ。私は生徒であなたは教師。それが先生の望む普通、ですもんね)

「あぁ、これが普通なんだよ」

(それじゃあ……もう先生ってばどうしたんですか? 先生らしくもない)

「(※苛立ちを発散するように)うあー! ……(※溜息)俺らしくない、ねぇ……」

「確かに俺らしくないよなぁ。まさか、生徒とこんな状況に陥ることになるなんてよ」
※小さく彼女には聞こえないように呟く

「おい、雨がこれ以上酷くなる前に帰ってもいいんだぞ? キリがいいとこまでは教えてやれたしな。明日もまた放課後に特別授業をしてやるから」

(本当ですか? 明日もお願いしていいんですか?)

「あぁだから言ったろ。俺とお前は教師と生徒。放課後に勉強を見ることくらい厭わねー」

「お前は真面目な奴だし、努力すればするほど力もついてくるだろう」

「だから──」

「……これ以上、俺みたいなおじさんには……」
※生徒には聞こえないように意識していたつもりの感じで

(なんて?)

「すまん、なんでもねーよ」

「ほら! 今日はここまでだ。帰る準備をするんだな」

【SE:歩く音】
【SE:服が擦れる音】

※生徒に抱き着かれてしまう優作。

(ねぇ、先生)

「お、おい……いきなりなんだよ。なに、抱きついて」

(好きな人を抱きしめて何が悪いんですか?)

「……学校内では教師と生徒だって」

(先生からキスをしてくれたら離してあげます)

「だから俺からキスとか、そんな……できるわけ」

(イイんですか? 私のお願いを聞いてくれないと……)

「……お前さ、俺を脅しすぎ」

(ダメ、ですか?)

「ダメに決まってんだろ。脅迫は犯罪だ」

(先生もこれから犯罪者ですよ。未成年に手を出すことになるんですから)

「はぁ? 俺がお前に手を出すわけ……」

(離してあげませんよ?)

「お前、イイ感じに性格が悪いのな」

「ほんと俺からキスをしねーと離してくれないわけか」

(先生、お願い)

「……あーあ、俺もお前も最低だよ」

「(※キス音)……これでいいのか?」

(ありがとう、先生)

【SE:立つ音】
【SE:スカートを払う音】

(もう逃がさないから。さようなら、また明日)

「おう、さようなら……あぁ、また明日、な」

【SE:歩く音】
【SE:扉を開く音】

「なんなんだよ、アイツは……! 最悪だ」

■(おわり)

幼馴染彼女


―――――――――――――――――――――――
●タイトル:幼馴染彼女(仮)
―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――
●ジャンル:男性向けシチュエーション音声作品
●制作日:2018/05/24
●制作者:有広ひろや
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―――――――――――――――――――――――
●キャラクター
―――――――――――――――――――――――
○相原 ちとせ (あいはら ちとせ) 年齢:16才
幼い頃から貴方と時間をともにしていた高校1年生の女の子。
昔は素直だった彼女だが、現在では感情を素直に告げられない恥ずかしがり屋に。
貴方への好意とは裏腹に、つい言葉では強く罵ってしまうことも多々。
―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――
●あらすじ
―――――――――――――――――――――――
「結婚をして、いつまでも一緒にいようね。ちとせとの約束だよ」
幼い頃に結婚の約束を交わしていた、ちとせと幼馴染の貴方。
しかし、貴方は成長をしてからというもののすっかりとその約束を忘れてしまっていたようです。
―――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――――――
●シナリオサンプル
―――――――――――――――――――――――

  帰宅する聴き手。玄関ドアを開くと、そこには幼馴染の女の子、相原ちとせがいた。

SE:玄関ドアの鍵を開ける音 ガチャガチャ
SE:玄関ドアを開く音    ガチャ

相原 ちとせ(16)
「……おかえり、あなた」

「……って、何黙ってんのよ! 何か言いなさいよ、恥ずかしいじゃない! おかえり、あなた、なんて! 絶対に言うつもりはなかったのにーっ!」(全体を通して恥ずかしそうに)

「あっ……いや、言ってみたくなかったといえばウソになるけど……」
 
「その……ちょっとだけ、ちょっとだけだけど……昔から憧れていたのよ。旦那さんの帰りを楽しみに待つお嫁さんっていうのかな? おかえり~ご飯にする? お風呂にする? それとも……わ、た、し? なんて──」

「ふっ、ふるいなんて言わないでよ! いいじゃないの、別に……理想を語るくらいなら」

「どうせ実現はしないんだし……あんたは忘れてるもんね、わたしとの約束……」
(聴き手には伝わらないように小さな声で)
 
「でもさぁ、子供の頃はよくこうしてたわよね。あんたの帰りをおばさんと一緒に待ってさ、おかえりって出迎えるの。当時はおばさんの手料理を振舞ってもらったものだけど……今日はわたしの手料理を食べさせてあげる」

「あれ? もしかして聞いてないの?」

「何をって……今日はおばさんとおじさんが旅行で家をあけるから、わたしがあんたのご飯を作ってあげることになってるんだけど」

聞いていない出来事に不満げな表情をしている聴き手。

「その様子だとわたしの手料理が不安なのかしら?」

「それともまだおばさんと一緒じゃないと眠れないお子ちゃま?(挑発するかのように)」

「ふーん、まぁそういうことにしといてあげるけど……ほら、さっさと夕飯を食べないと冷めちゃうわ! とっとと靴を脱いで手を洗ってきなさい! 靴下を脱ぎっぱなしにしてもダメよ」

SE:靴を脱ぐ音
SE:フローリングの床を歩く音

「なによ、おばさんみたいって? なにまだおばさんに言われてるの? 帰ってきたら手を洗いなさい、とか? もう子供でもあるまいし、ちゃんとしなさい!」

「ちょっと、どうしたのよ突然黙り込んで……」

「なっ……厳しいけど子供のことをしっかりと考えられるお母さんになりそうって……あんたねぇ……」

「誰のせいでこんな細かいことまで指摘しなくちゃいけないと思ってんのよ。でも……」

SE:フローリングの床を走る音

  ちとせの声を聴かずに手を洗いに行く聴き手

「いいかもね、あんたがお父さんになってくれるなら」(小さく囁くように)

「なーんて……何言ってんだろ、わたし」

SE:フローリングの床を歩く音
SE:肩に手を乗せる音

「びっ、びっくりした……! あっ、あれ? なんだもう手を洗ってきたのね? それじゃあ次は夕飯ね、さ、行きましょうか。わたしの手を握ってくれる?」

SE:フローリングの床を歩く音

「(小さく微笑む)これも、小さい頃によくやったわよね、お互いに。勝手に手を引いてさ、自分が行きたいところに勝手に連れてって……。あんたの手、随分大きくなったのね。昔はさ、わたしのほうが高かった身長もいつの間にか抜かされちゃったし……ちょっと寂しいなぁ」

SE:スライドドアを開く音
SE:フローリングの床を歩く音
SE:椅子を引く音

「さ、座って食べなさい。わたしも一緒に食べるわ」

「どうかしたの? 座りなさいよ……わたしの料理が上達してないとでも思ってるのね? これでも中学生の頃と比べれば進歩したんだから! 毎日おばさんに教えてもらったし……」

SE:椅子を引く音

「ねぇ、あんた、今なんて……?」

「そっ、そう……そっか、そうなんだ。友達とご飯食べてきちゃったんだ……」

「わかった、わたし一人で食べるからいいわよ。別に……あんたの為に作ったって気持ちが百パーセントではないし、おばさんに言われたから作っただけで……あんたに食べてもらいたかったとか、思ってない……」

SE:スプーンを持ち、誤って食器にぶつかってしまった金属音

「……い、いただきます……」

「なによ、食べないならお風呂にでも入ってきたら? 既に沸かしてはあるし」

「食事は家族みんなと、それが無理ならせめて一人じゃなくって二人でもいい、誰かと一緒に食べたほうが美味しいし、幸せなことだって……おばさんもおじさんも言ってたのに……」

「あたしなんかと一緒に食べてくれてさ、すごく嬉しかった。好き嫌いはダメよって、本当のお母さんみたいに……」

「ねぇ、わたしだっておばさんみたいに美味しい料理を作れるようになったんだよ? 見た目はそのまだちょっとよくないけど……おばさんの手料理みたいにあんたが好きな味付けにできるようにもなったの……それなのに……こんな……」

「いいわよ、無理に謝らなくて。わたしがいけないの。おじさんたちの旅行を知っていたのに、あんたに伝えなかったわたしが……。でも最初から伝えておけばあんたが友達と一緒にご飯を食べてくることも知れたんだろうし」

「本当はサプライズってわけでもないけどさ、あんたに秘密にしておけば喜んでもらえるかなって考えていたりもしたんだけど……」

「なによ、そんな言葉聞きたくない。……どうせ、これ以上気分を損ねないようにって言ってるだけでしょ? また作ってほしいなんて……思ってもないくせに」

「イヤ、イヤよ。一緒に食べる約束をしたところで守ってくれないじゃない。……忘れちゃうよ、あんたのことだもん」

「だからいいわよ、謝るのだって……。ほら、もう……わかったから、頭を上げてくれる? しょうがないわね。また今度作ってあげるから、その時は必ず……一緒に食べるわよ。約束、だから……チュッ(キス音)」
「(微笑みながら)約束の印よ」

「ちょっと……そんなに恥ずかしがることないじゃない。わたしのほうが恥ずかしいのに……」

「あーもーっ! こんなんじゃ食事が進まないわ。さっ、お風呂に入ってきちゃいなさい。わたしは食べたら洗い物もあるし、待ってても時間の無駄よ。大丈夫、もう一人でご飯くらい食べられるわよ。……さっきはみんなでとか、せめて二人でなんて言った毛で……一人で食べるのは慣れてるから。ね? 行ってきなさいよ」

「うん、いってらっしゃい」

SE:スライドドアを開く音
SE:フローリングの床を歩く音(扉越しに聞こえる形)

  一人リビングに残るちさと。自分の言動に改めて羞恥する。

「……もう何しちゃってんのよ、わたしは……恥ずかしいじゃないの……バカ……」


2. 聴き手の家・午後10時・内
  就寝前の聴き手。ベッドの上で楽になっていると突然の来訪。

SE:扉をノックする音(木製)

(扉越しに)
「ねぇ、入ってもいい?」

SE:ドアノブを回す音
SE:扉を開く音

「ありがと、ごめんね、ゆっくりしてるのに」

「……お願いがあるんだけど、聞いてくれる?」

「ちょっと何をそんなに警戒してるのよ。別にもう怒ってもないから、気にしないで」

「そうじゃないって? じゃあ何よ……え? 服装がなんて?」

「いやいやこのくらい普通よ、女の子なら。眠る前はすごくラフな格好をしてるし、そりゃあわたしだってワンピースぐらい履くわよ。楽だしね」

「何よ、言いたいことがあるんだったら言いなさいよ……っ! って、もう……わざわざ似合うとかいう必要がある? 普段は言わないくせにこういう時ばっかり」

「あっ、ごめんごめん。言いなさいって言ったのはわたしなのにね」

「(くしゃみ)……ちょっと隣、入ってもいい? なんだか冷えちゃったみたい」

SE:布団と服が擦れる音

「……ありがと、ってどうしてそんなにも距離を置いてるわけ? いいじゃないの、小さい頃はよくこうして(布団に潜り込む)一緒に同じ布団に入ったものじゃないの」

「でも……あんたもわたしも、もう高校生だもんね……もうそろそろこんなことは止めないとよね」

「ねぇ……あんたは覚えてないだろうけど、わたしはあんたからのプロポーズ、まだ覚えてるから」

「(溜息)やっぱり覚えてないのね。昔あんたはわたしに言ったのよ」

「『ちいちゃんのことをずっと好きなまま大人になるから、ちいちゃんが僕のことを好きになってくれたら……僕と結婚して下さい』ってね」

「そしてわたしは言ったの。『ありがとう、結婚をして、いつまでも一緒にいようね。ちとせとの約束だよ』……って」

「っはは……(控えめに笑って)……覚えてるわけないわよね。もう十年も前のことだもん。覚えてるほうがおかしいのよ。子供じみたプロポーズを大事に覚えていて、いつか現実にしてくれるんじゃないか。いつかあんたはわたしにもう一度告白をしてくれるんじゃないかって……勝手な願望だったんだけど、ね……」

「ほーんと、過去のことを引きずりすぎているだけなのよね、わたしが。お母さんのことも、お父さんのことも……もう戻ってこないって頭ではわかってるはずなのに……おばさんやおじさん、あんたと一緒にご飯を食べる度にさ、ふらっと両親が帰ってきてまたみんなでご飯を食べれたりするのかな? とか考えちゃう。悪い癖よね。全てが過去の出来事なのに諦めきれなくて、未来へと繋がっているであろう、あんたからのプロポーズをずっとずっと信じてた。両親が帰ってこないなんてことは子供でもわかることだから……せめて……」

「(悲しげに)ごめん、いきなりこんな……」

「でも、これだけは信じて。両親の代わりにおばさんたちと一緒にいたなんてことはないわ。昔から親切にしてくれていたお二人が……いつか本当の両親のように思えてきてしまったのは事実だけど……でも……でもね……」

「きゃっ……(小さな悲鳴)い、いきなり、なによ……えっ、昔も抱きしめたりしただろって……」

「(静かに微笑む)そうね。昔からわたしを慰めるのがあんたの役割みたいなところがあったもんね……。……あったかい、あったかいよ……」

「ごめんね……もう、大丈夫、大丈夫だから。……平気、だから――」

「ただ一つだけ。わたしね、昔あなたにプロポーズされた日、母さんに話したの。そうしたら母さん、なんていったと思う?」

「『ちとせは幸せ者ね。お母さんとお父さん以外にも愛してくれる人がいる……その人を大事にするのよ』って言ってくれたの」

「きっと母さんは当時から気付いていたのね。わたしがあんたのことを好きだって」

SE:布が擦れる音

「(キス音)……今も昔もわたしはあんたが好き。うそじゃないから、ね?(キス音)」

「キスだけじゃ、わたしの気持ちは伝わらないかしら?」

「キャッ……(小さな悲鳴)抱きしめてくれるのね。ありがとう……伝わってきたわ、あなたの気持ちが……。ありがとう、好きよ――」  

(終わり)

家庭教師のお姉さん

●男性向けシチュエーション作品
 「家庭教師のお姉さん(仮)」
 隣の家に住む大学生の幼馴染兼家庭教師のお姉さんに性的欲求を抑えられなくなった主人公が、お姉さんに手を出し、手を出されてしまう作品

●成人向け作品
 (Mの男性寄りかな?と)

●聴き手の設定
 ほまれとは幼馴染の高校生。
 平凡な男の子でほまれと比較するとかなり身長は高い。

●女性キャラクター
・相沢 ほまれ(あいざわ ほまれ)
 大学生で家庭教師のお姉さん。22才。体が小さくロリ巨乳。
 抜けた性格ながらも頭はよく家庭教師としては申し分ない。
 ただ主人公が問題を解いている途中にベッドの上で横になるなど無防備極まりない。
 
台詞例①
「おめでと~正解~!(軽く拍手)確かご褒美が欲しいと言ってたよね~? ご褒美は……どうしよっか? う~ん、そうだなぁ…キミの望むものをあげようじゃないか!」

台詞例②
「…んっ、アアッ……はっ、んっぅ…そこぉ、そこいっぱい突いて~~ッッ! キミのおちんちん、好きっ! アッ、っは、んっ!」

●シナリオサンプル ※作品のイメージを伝えやすくするために一部男性キャラクターの台詞も記載しています。


SE:インターホンが鳴る音

SE:インターホン通知音

相沢ほまれ(22) ※インターホン越しでの声
「待たせちゃってごめんなさい! 幼馴染兼家庭教師の相沢ほまれです」

(やっと来た! 今、開ける!)

SE:廊下を走る音

SE:玄関を開ける音

「待たせちゃってごめん。ちょっと大学の研究で忙しくなりはじめちゃって……でもまだ家庭教師は続けられそうだから安心してね?」

(よかった……)

「大丈夫、キミが大学受験に成功するまで辞めるつもりもないよ。それじゃあ叔母さんたちに挨拶をしてから、キミの部屋に移動しよっか!」

(今、母ちゃんと父ちゃん……旅行中なんだ)

「って、あれ? あたし聞いてないよ。叔母さんと叔父さん旅行に行ってるの? そっか、旅行に行ってる、のかぁ……(小さな声で)」

(ほまれ?)

「うん、じゃあこのままキミの部屋に向かおうか」

(おうっ!)

SE:玄関を閉じる音
SE:鍵を閉める音

〇部屋移動

SE:冷房の風の音
SE:鍵を閉める音

SE:ベッドに座り込む音

「この前出した課題はちゃんと終わった?」

(おうっ! もちろん)

「ふふっ、終わってるなら安心だよ。それなら今日は採点からだね」

(これ、だよな?)

「そうそう、これだよこれー。少しだけ待っててくれる?」

(そうだ……前に話したこと覚えてるか?)

「あっ、そういえば前回…全問正解のたびにご褒美が欲しいって……言ってたよね?」

(あぁ、言ってた!)

「そのご褒美についてなんだけど……どうしよっか? ここ最近キミが喜んでくれそうなご褒美を考えてはみたんだけどさぁ……年頃の男の子に対してあげられるようなご褒美はなかなか思い浮かばなくてさぁ。けど今キミの顔を見たら思い付いたよ!」

※男の子のほうへと近づいて

「で、も、ご褒美は今じゃないよ? 課題の問題……全問正解だったら、ご褒美をちゃんとあげる!」

「もし一問でも外れてたら、ご褒美はナーシ」※耳元で囁く

「さぁ採点をはじめようか」

SE:椅子に座る音
SE:ペンのキャップを取る音
SE:赤ペンで丸を付ける音

「うん、うん……これも……これも正解! おめでとう、全問正解だよ!」

(やった!)

「着実に力が付いてきてるし、あたしも嬉しいよ。これも小さなほまれ先生のおかげかな? キミはあっという間にあたしより大きくなっちゃったからさぁ、昔はキミと姉弟なんて言われてたのに……今ではキミのほうがお兄さんだ」

(それでご褒美の話なんだけど……)

「ホントキミってば気が早いなぁ。ちょっとぐらい思い出話に花を咲かせたって……罰は当たらないじゃない。そんなにあたしからのご褒美が欲しかったの?」

(……おう)

「そっか、そんなにあたしからのご褒美を楽しみにしてるんだ。それじゃあお待ちかねのご褒美を、あ、げ、るっ!」

「ちょっとだけ唇を貸してね……チュッ(キス音)」

「あたしからのキスがご褒美じゃ……不満だったりして? 満足してくれた?」

(なっ、いきなり、キスとか……

「あれ……やっぱイヤだった? あたしたちが幼馴染だから? キスだなんて考えてもなかった?」

「あたしは……キミと幼馴染のままなんてイヤだんだよ(小さな声で)」

(いや、別にイヤだとかじゃなくて……ただ初めてだったから)

「って、え!? キミキスがはじめてだったの? あっ、そう、そうだったんだ……あたしとのキスがファースト、キス……か」

(でも…う、嬉しい……)

「ありがとう、嬉しいだなんて言ってくれてさ。やったね☆ 喜んでもらえたのならご褒美をあげたかいがあったし、安心したよ……」

「でも……そうだなぁ、次のページの問題に挑戦して、また全問正解ができたなら……その時にはキミが望むご褒美をあげるよ☆」

「あたしが思い付くご褒美には限界というか……キミが頑張ったんだもん、キミが欲しいと思ってくれてるご褒美のほうがいいでしょ?」

「だから、素直に欲しいご褒美の内容を口にしてみて。なんでもいいよ~? このほまれお姉さんに任せなさいっ!」

(わかった……。それじゃあ次に全問正解だった時には考えるよ)

「ふふっ、それじゃあ次のページの問題を解いていこうか! あっ(小さく)、でも……ご褒美のことばっかり考えちゃダメだよ? きちんと問題に集中すること」

(おうっ!)

「あたしはその間にちょっとベッドを借りるね。でも心配しないで、別にキミが隠してるエロイご本を探したりはしないから」

(もしかして疲れてる?)

「いやだから心配しないでって。別に疲れてるわけじゃないから。ただ……申し訳ないんだけど、横にだけなりたくて」

(構わないよ。問題が解けたら声を掛ける)

「ごめんね、ありがとう。それじゃあ今から15分……問題に挑戦してくれる? よーい、スタート!」

SE:冷房の風の音

SE:シャーペンを走らせる音

SE:ノートをめくる音

SE:無音

SE:シャーペンでノートをつつく音

SE:無音

SE:椅子を回転させる音

「ふんふんふーん(鼻歌交じりに)……キミのベッド、すごくいい匂いがするなぁ……(小さな声で)」

「あれ……シャーペンの音、止まっちゃってるけどどうかしたの……って、あーっ! キミあたしのパンツ見てたでしょ? 人が寝転がってるのを良しと思って……」

(ち、違う! 別に好きで見たわけでもないし、あっ、ウソです! 全然見てない! 水玉模様のパンツが可愛いなぁ、なんて、誰も思ってない!)

「あっれー違った? ごめんごめん、ちょっとあたしが自意識過剰だっただけかな? …水玉模様のパンツなんて見てない、ねぇ……」

(あ……)

「も~っ、やっぱり見てたんじゃないの!」

「子どもっぽくてごめんなさい~(悪びれている様子は決してない)でも、あたしのおパンツを勝手に見たキミが悪いと思うなぁ」

(いや! ほまれが見せてたんだろ! 俺が後ろを振り返ったらすぐ目に入ったし!)

「見せてたんじゃないのかって……キミねぇ、何言ってんのよ。……けど、そうよ、見せてましたー。初心な男子高校生に女子大生のおパンツを見せたらどんな反応をされるかなぁと思いまして~」

(心臓に悪いぞ、ホント。じゃなかった……そんなことより! 分からない問題があって……)

「え? ただ分からない問題があっただけだって? そう、なら最初からそう言ってよ。ちょっとドキドキしちゃったじゃない」

(ドキドキって、自分から見せてた人がよく言うよ)

「はいはい、すみませんでした。どうせあたしが見せたくて横になってただけですからぁ」

SE:ベッドから降りて立ち上がる

「どれどれ……この問題? どうしても分からないようなら特別ヒントをあげるよ」

(でもそうしたらご褒美が……)

「もー、そうやってご褒美の心配? 心配しなくていいよ。別に特別ヒントをあげたからといって、ご褒美をなくしたりはしないから」

「(小さな声で)ただヒントをあげたら特別に…あたしから……キミに頼みたいことがあるだけ、だしね」

「って、ちょっと……見てる先が問題じゃないんだけど? なにあたしのおっぱいばかり見てるの」

(あれ、バレた?)

「バレバレよ。でも、そうねぇ、キミがあたしのおっぱいを見たいんだったら、そういうご褒美だってあげちゃう」

「男子高校生には刺激が強すぎるかもしれないけどねぇ~。昔のあたしとは大違いなんだから!」

(えっ……本当に?)

「本当も何も、さっき言ったでしょ? ご褒美のことならこのほまれお姉さんに任せなさい! ってね☆」

「ご褒美はなんでもいいんだよ? おっぱいが見たいでもキスしたいでも、セックスだってなんだっていい。キミがあたしに頼みたいこと、いってごらん(囁くように)」

「ただし……キミがヒントを望むのであれば、あたしだって……キミに頼んじゃうんだから。ヒントを与えるかわりに、あたしのお願いを聞いてくれる?(囁くように)」

(ごくり)

「なーんてねっ、ウソよウソ。ご褒美をあげるのは本当よ? でもキミにヒントをあげたからって、別にあたしのお願い事を聞かなくてもいいから」

「ほらっ! 分からないところのヒントをあげるから、次こそはちゃんと聞いてね」


SE:シャーペンを走らせる音
SE:シャーペンを走らせる音

SE:時間切れを知らせる音

「はい、おわり~! 問題は解き終わった? もう書いちゃだめだからね? 時間切れなんだから」

「どう? 解き終わった?」

(ふう、ぎりぎり終わっ……)

「そう、きちんと問題は全問解けたのね。それじゃあ答え合わせをしてみましょうか」

SE:赤ペンで丸を付けていく音

「うん、うん……ここも正解だし、最後のこれも……うん、何の問題もないわ。ヒントをあげたところもちゃんと正解してる。おめでとう無事に全問正解よ」

「そ、れ、で……ご褒美、どうする? 欲しい?(甘い声で)」

(ほ、ほしい)

「うん、素直でよろしい。キミはどんなご褒美が欲しいのかな?」

(それは……)

「さぁ、なんでも言っていいんだよ? キミの願うご褒美なら……あたしの全てだろうが与えてあげる」

SE:腕を引きベッドへとほまれを押し倒す

「キャッ……もう、案外大胆なんだねぇ。昔はあたしと手を繋ぐことすら恥ずかしがってたのに? いきなりベッドに押し倒すなんて」

「ふふっ、でもいいよ。キミへのご褒美は……あたし、ってことでいいのかな?」

(……おう)

「もう自分から押し倒しておいて何を恥ずかしがってるの? ふふっ、お姉さんがキミを絶頂に導いて、あ、げ、る♡」

「あたしは別にセックスは初めてでもないから……キミをリードしてあげてもいいんだけど、どうする? お姉さんがキミの服を脱がしていってあげようか?」

「だーかーら、そんなに恥ずかしがらないで? キミが望んだことでしょう? あたしとセックス、したいんだよね?」

(……うん、そう、なんだけど)

「うん、キミは本当に素直で大好き」

「さぁ、はじめようか♡」

SE:服が擦れる音

「手、貸してくれる?」

(あっ、はい)

「ちょっとあたしの胸に手を当ててみて。どう? あたしの胸の鼓動感じる? ドクっ、ドクって、すごく早く脈打ってるの。キミとのセックスにドキドキしてる証拠よ」

「キミもドキドキしてるの? ふふっ、本当だ、すごい心臓の音が早いのね。女の人とこういうことをするのは初めてだよね?」

(はじめてだよ)

「そう本当に初めてなんだ。よかった、キミの初めてがあたしで。昔からキミのことを狙ってたんだよ。幼馴染とはいっても年齢が特別近いわけでもないから……キミは中学生にあがるとあたしの家には遊びに来なくなっちゃって……」

「寂しかったんだぁ、本当は。あたしはキミのことが好きだったのに、キミはどんどんあたしから遠ざかっていく。学校で他の女の子を好きになったりしてないかな? あたしのことを忘れちゃったりしてないかな? って毎日毎日悲しんでたんだけど」

「叔母様には感謝しないとね。キミの家庭教師をあたしに頼んでくれなかったら、絶好のチャンスは二度と訪れなかったかもしれない」

「ねぇ、キミはあたしのことをどう思ってた? ただの幼馴染のお姉さん? それとも好きな女の人?」

「なんて……ふふっ、本当にキミは顔を真っ赤にしちゃうんだね。そこまで分かりやすいと……コッチのほうもわかりやすいんだろうなぁ」

(……あっ)

「キミ、自分でもわかってるだろうけど、あたしを押し倒してるだけでもうココがギンギンになってるじゃん。そんなにあたしとエッチがしたかったの?」

「さぁ、あたしを好きにしていいのよ? それがあなたの望むご褒美なら、いいわ」

「それじゃあ……まずはキス、しちゃう?」

「んっ、チュッ…っ、あっ…む、っ…ンッ……ァァッ、はッ…ン」

「こういう経験のないお子様はキスだけでも大変ねぇ、乱暴すぎるのはキライだけど……ちょっとくらい虐めてくれてもいいのに。じゃないと……あたしがキミをイジメたくなっちゃう♡」

「ほら、キミが服を脱がせないのなら全部自分で進めちゃうけどいいの? 服を脱いで、自分でおまんこを慰めて、キミのおちんちんを勝手に口に咥えこんでさぁ……好き勝手しちゃうよ?」

「見て、あたしの体。一枚一枚服を脱いでいって……後はブラとショーツだけ。あたしがキミに見せつけていた水玉模様のおパンツがもう目の前よ」

「でもブラジャーもいらないのよね。キミ、おっぱい、触ってみたくないの? 服の上からでも充分に分かってただろうけど、あたし結構大きくなったのよ? 両手からはみ出しちゃうくらい……大きいし、んッ…柔らか、いん、だからっ」

「あっ、んッ…ハァッ、アッ……見てよ、キミが触ってくれないから自分で…こう、してぇっ……あたし触っちゃってる…」

「どうしよ、おっぱいだけじゃ…足りないようぅ! こっちも…いじって、あげ、なきゃあ♡」

「ぃっ、アッ…イイっ、き、気持ち、いいよぅ! おまんこに指を入れて、自分でグチュグチュするだぁけ、なのにぃ…き、きもち、いいのぅ」

「もっ、もっと……激し、く、した、い…のにぃ! 自分だけ、じゃ…限界がぁ…」

「っアアッ……っ、ぁっ…ハァッ、んッ――」

「な、んで……キミがヤッてくれないのよぅ…人のオナニーを見てる、だけでぇっ! まん、ぞく……なの? この、変態、さんっ!」

「ッアァッ、自分の指で…ぇっ、イっ、イっ、イッちゃうーつ! ァっ、アッ、アッ、アーっ!」

「っ、あっ…ッア、っはぁ…はっ……はぁっ…本当に、キミ…あたしとセックス、したかったの?」

「何も、手も…出して、くれなかったぁ……! ……って、ねぇ、ウソ、でしょ?」

「キミ、人のオナニー姿見ながら…自分もオナって、イってたの…?」

「この……変態!」

(あっ、イヤ、これは、そのっ……)

「もうっ! ごまかさないでよ!」

「……でも、そう、ねぇ…キミがあたしに手を出してくれなかったのはすごく悲しいことなんだけど……童貞さんだからかな? ただやり方が分からなかった、ってことにしておいてあげるから……」

「次はあたしの手で、キミをイカせてあげる♡」

「あっ、でも勘違いしないでね? あたしがキミのおちんちんを直接触るのは……キミが触って欲しいって、あたしに素直に口にしたときだーけ。まずは……」

SE:服を脱がせていく

「キミの平らで目立ちもしないおっぱいから責めてあげる」

「でも、やっぱり……一か所ずつ、かな?」

「ふうっ(耳に空気を吹きかける)……どう? 意外と耳に空気を吹き付けられるのもくすぐったいでしょ?」

「普段耳になんて…息を吹きかけられることもなければ…んッ、ぐちゅっ、ㇺッ、ンンッ……舌を入れられることだってない」

「んッ、ンンッ、あむっ、ンッ――っアハッ、どう? ちょっとずつ気持ちよくなってきたんじゃないかな?」

「それにほら……キミのこの胸の飾りも…ちょーっとずつよくなってくるはずよ」

「手のひらで乳輪を薄くなぞるように触れると……くすぐったいでしょ? それが少しずつよくなってくる…小さな小さな乳首だって今はまだ柔らかい先っちょだけど…こうして、ペロッ、ペロペロ…あむっ、ンッ……舐めたり、ガリってかじったりするとさ……」

「ふふっ、どう? 体の内側から感覚が変わってこない? ただくすぐったかっただけのはずのキミの小さな胸に全神経が集まって…ムズムズしてくるの」

「もちろんいきなり男の人がいきなりオッパイでイケるはずもないからさ、今は気持ちよくなってくれてるだけで才能があるんだなぁ、ぐらいにしか今は思わないけど……またキミが課題を全問正解でもした時に触ってあげる。この感覚が好きになっていくはずだからね」

「あっ、けど……やっぱり耳と胸に対してじゃ足りないかしら? これじゃあ女の人と変わらないものね? せっかく女の人を貫けるモノを持ってるんだもん、こっちも刺激して欲しいよね?」

「でーも、触って欲しかったらきちんと言葉にしなくちゃダメだよ? お姉さんには男の人の感覚なんて分からないんだから」

(…お願い、です……オレのチンコも、さ、触って……下さい)

「えっ? 聞こえないなぁ、あたしと一緒に言ってみよっか。せーの」

「オレのおちんちんを、ほまれお姉さんの手で触って、揉んで、口に入れて……気持ちよくしてくださいって…ね? よく言えました、よく言えました(拍手)」

「さぁ、それじゃあ……触ってあげるね」

「あむっ……ぺろっ、れろっ…ンッ、あっ、んっ――むっ、ンンッ、ンッ…」

「キミのおちんちん、あたしの口の中でどんどん大きくなってくよ。しかもさっき一度勝手にイッちゃってるから…すごく男らしい匂いがする。嗅いでるだけで…どうしよう、またおまんこがグジュグジュになっちゃうよ」

「はやく、キミのこの大きくて逞しいおちんちんをあたしの中に入れて欲しいなぁ」

「その前にもう一回ぐらいイカせてあげたいんだけど、ねっ♡」

「ンッ、っ、あむっ…ンンッ、ペロッむっ…ッアっハァっ…ンッ、ンッアッ」

「どう? イッちゃいそう? イキそう? イキそうだよね?(咥えながら話している感じ)」

「いいんだよ、イって。ほらっ…イキなさいよ!(咥えながら)」

「っ、ンンッ……んっ、ァっ、ハァッ…んっ、ごくっ、ンッ…ンぅ――ごちそうさま、美味しかったよキミのおちんちん」

「それじゃあ、次はあたしの番、かしら?」

「ちょっとキミの顔を貸してくれる?」

「そう、それでいいわ。ちょっと苦しいかもしれないけど……寝転がぶキミの顔に跨るから、キミはあたしのおまんこを舐めてくれる?」

「ンッ、あっアアッ、そう、上手、上手よ…っ! アッ、アッン、も、もっと…奥、奥までぇっ…・!」

「アッ、イっ、イヤぁっ…そんな、す、吸われたら、あ、あたしっ…おかしく、おかしくなっちゃうううっ♡」

「んっ、アッ、アッ、イく、イク、イっ、ちゃう…イっちゃうよぉ、おまんこ吸われて…イッちゃうーっ!」

「っ、あっ、な、んっでっ…イ、イカせて、くれ、ないのぅ? あたし、まだ…一回しか、イってないのにぃ…ッアっアっ――」

「そっ、そう……そういう、こと、なのね? キミのそれでイカせてくれるって、こと、なのよね?」

「分かったわ……キミの、おちんちん、あたしに…ちょうだいっ!」

「いいよ、キミは横になったままで…イイ、からっ! キミのおちんちんが……欲しいのぅ」

「んっ、アッアアッ……キミのおちんちんがあたしの中に入ってきたぁ…深い、深いよぅ…入れるだけでイっちゃうううう!!」

「アッ、っンッ…はっぁっ、イっちゃぁった……まだ入れただけなのにぃ…アアッ、ま、待ってよぅ! イったばっかり、なのに! そんな…は、激しく、したらぁ! またイっ、イッちゃう! イッちゃうよーっ!」

「オッパイまで触って、そん、なっ! は、激しいよ~っ! そんなにオッパイをギュってしても何も出ないのにッッ、アッ、アアッ、ンンッ、ん~っアっ」

「ヒィッ、あっ、もっ、ヤァッ、は、激しっ…! 腰がっ、とっ、止まらない~~っっ! アッ、っアアッ、ンっ、アッ、アアッ」

「キ、キミも、イっ、イキそう、なのっ? あたしもっ、イっイっ、イクっからっ! 一緒に、イこうっ! ッ、ンンッアっアっ、ひっ、ァっアアッーーっ!」

「アッっ、んっ…あっ、はあっ、あっ……あ、あたしのっ、なかっ…キミの、キミのミルクでいっぱい、だよぅ…赤ちゃん、できちゃっ、たら…どう、しよっか? アハハッ、えへへっ…でも、う、嬉しいなぁ…キミの初めてがあたしで…本当に嬉しいんだぁ」

「ねぇ、次もまた全問正解だったら今日みたいにご褒美をあげる」

「……いいんだよ? キミの欲しいご褒美を言ってくれたら…いいの。あたし、なんでも受け入れるから。キミのこと全部…」

「ふふっ、あたしのためにも…絶対に全問正解じゃないと…許さないんだから。また、キミとセックスがしたいなぁ…チュッ(キス音)」

(おわり)

桃色リモニウム(GL小説)


〇相原もも
〇森絢夏


 灼熱の日差しから逃げ帰ってきた私は、おめでたくも恋人同士になった絢夏ちゃんとともにひんやりと冷えたアイスを口に含んでいた。
 夏の暑さに負けじと働く冷房の風にあたりアイスを食べるのは最高だ。甘く美味しいイチゴ味のカップアイスは絢夏ちゃんとお揃いで買ったものだ。
部屋を覆っていた暑苦しい熱気は消え、今はただ過ごしやすい穏やかな雰囲気へと変化した。先ほどまで暑さで機嫌を損ねていた絢夏ちゃんも徐々に落ち着き、食べかけのカップアイスを見つめながら不意に呟く。

「こうやってあんたと一緒にアイスを食べるのも……懐かしいな」
「そうだね。絢夏ちゃんが引っ越しちゃってからは初めてだもん」
「そりゃあ懐かしいはずだわ」

 ぐるりと私の部屋全体を見渡した絢夏ちゃんの瞳は本当に懐かしそうに微笑んでいた。
 これまでにも日常的に食べていたはずのカップアイスが今日特別美味しく感じられるのは、この部屋に彼女の存在があるからだろう。自分もまたとても懐かしいこの雰囲気に、絢夏ちゃんとの思いもしない別れの前日の日のことを思い出した。
 小学2年生の冬は例年稀にみる大寒波に襲われ都市部でも積雪がみられた。普段であれば春の温かさを感じるはずの3月に入ってからも気象は変わらず、終業式を終えてもなお雪が残り春色からは程遠い春休みの到来だった。
 当時の私は絢夏ちゃんがいなくなるとは考えてもいなくて、当たり前のように隣にいてくれた存在をきっと好きになったのだろう。

「絢夏ちゃん、私ね……あなたと一緒にいると胸がドキドキして、絢夏ちゃんの幸せそうに笑っている顔を見ると、この辺りがわぁって熱くなるの」

 私は絢夏ちゃんの手のひらを握り締めて呟いた。あたたかい温もりがじんわりと広がっていく。
 当時既に彼女に対する温かな感情だけが私の中に生まれ落ちていた。
 何もウソはない。背伸びをしたわけでもない。ありのままの自分を絢夏ちゃんへと伝えたい。ただそれだけだった。

「分かってくれる? この私の気持ち」
「…………うん」
「絢夏ちゃん、私きっと好きなんだと思う。男の子のことも好きになった経験なんてまだないけど……これが好きになるってことなんだろうなって」

 もしかしたら、伝えなくてもいいことだったのかもしれない。今後また伝える機会があるかもしれない。絢夏ちゃんからしたら嬉しくないのかもしれない。自分本意な感情を告げたら迷惑がかかるだけといった可能性も存在する。
 過去の自分は絢夏ちゃんのことを一切考えていなかった。ただ自分が思うがままに感情を告げていたのだ。

「でも、女の子を好きになったらダメなのかな? 皆男の子が好きだって話してるのを聞いて……私はおかしいのかな。絢夏ちゃんはお友だちなのに、ずっとずっと絢夏ちゃんに触りたいって……思っちゃったのはいけないことなのかな」

好きになる、だなんてよく分からない。
ただ彼女が隣にいてくれて、一緒に笑いあってくれていればいい。握り締めた手を振り解かないで、そればかりだった。
 はっきりとした絢夏ちゃんからの返答はない。静かに部屋に飾ってある時計の秒針の音だけが響いていて、今にもこの場所からいなくなってしまいたいという願望に駆られる。
自分は絢夏ちゃんを傷つけてしまった。言わなくていいことを言ってしまった。女の子からの好きなんて嬉しいはずがなかったんだ。普通の友だちに抱くはずのない感情を私は抱いてしまった。
 
「……あ、もう帰る時間みたい……」

 突然発された絢夏ちゃんの言葉にハッとした。いつの間にか俯いていた顔を上げれば、午後五時を知らせる鐘の音が耳に届いたのだ。
どのくらいの時間が経っていたんだろう。気が付けば外はオレンジ色の夕日が輝いていて、眩しくてつい目を細めたくなってしまった。
 
「本当だ……絢夏ちゃん、帰る時間だよね」
「……うん」

 ゆっくりと絢夏ちゃんは立ち上がる。やっぱりさっきの私の言葉に対する返事はなくって、きっとイヤだったんだろうなとか、もう友だちじゃいられないんだろうなとか、後ろ向きなことばかりを考えてしまった。
 彼女の顔をしっかりと見つめて笑い、バイバイと言ってあげられる自信がない。
 それでも彼女を見送ってあげなくちゃいけない。自分だけが二階に残って一人で帰らせるわけにもいかなかった。気乗りしないながらも重い腰をあげた。

「もも……ちゃん?」

 ランドセルを持ち上げて背負った絢夏ちゃんが静かに私の手を取る。
 驚いて声もあげられなかったけれど、私よりも少しだけ身長の高い彼女が顔を覗き込んでいた。

「どうかしたの?」

 真っすぐに私を捉える彼女の視線にただ目をそらすことしかできなかった。床を見下ろし、小さな声で「なんでもないよ」と返してあげるしかない。
 何も言わずに手を振り払うには絢夏ちゃんの手が暖かくて、──優しい感触だった。
 彼女に触れられただけで強く胸が高鳴ってしまう。このドキドキが今にも手のひらを通して絢夏ちゃんに伝わってしまいそうなほどだ。

「……行こうか」

 必死にドキドキを殺し、見上げながら微笑んだ。
 これ以上絢夏ちゃんを困らせるわけにはいかない。同じ女の子からの『好き』なんて受け入れてもらえるような言葉じゃなかったんだ。彼女は聞かなかったふりをするほどにイヤだったんだ。私からの気持ちなんて伝わるはずがなかったんだ。
 春なんて訪れない。町中の雪が解けたとしても、春になんてならないのだ。
 絢夏ちゃんの腕を引いて階段を下りていく。これが日常的な私たちの関係。少しだけボーっとしている彼女を私が必死に引っ張って、見失ってしまわないようにするのが私。そんな私に文句の一つ言わず付いてきてくれる絢夏ちゃんは手を振り払うことなんて一度もなかった。

「それじゃあ、帰るね」
「うん」

 玄関まで下りて絢夏ちゃんを見送る。靴を履き私のほうへと向き直った彼女は何故か手を指し伸ばしてきた。
 その手は私の服のそでを優しく掴み何の迷いもない瞳を浮かべる。
 彼女の名前を呼び小首を傾げた私に彼女は静かに口角をあげにこやかに笑んだ。

「ももちゃん……ありがとう、私も好きだよ」

 一瞬、絢夏ちゃんが何を言っているのか全く分からなかった。そでを掴んでいた手のひらが離れていく瞬間も、ガチャリと音を立てて玄関の扉が開かれたことも、何も理解ができなかった。
 ただ僅かな彼女が私の耳元で囁いた瞬間に小さく微笑んだ表情と、ほんのささいな時間の間だけ重なり合った唇の感触だけがはっきりと記憶できた。
 呆気に取られて何度か瞬きをしてみると、絢夏ちゃんの姿はなく私がたった一人で玄関に佇んでいるだけ。
 気が付いた時には絢夏ちゃんは帰ってしまっていたみたいだった。

「あ、あれ……私、絢夏ちゃんにバイバイって……言えたのかな?」

この日から数年間私と彼女は一度も顔を合わせることがなかった。私になにも告げず絢夏ちゃんはどこか遠い街へと引っ越してしまったみたいだった。
 高校生になり、彼女が再び引越しでこの地に戻ってくるまで私たちは一度も連絡を取らなかった。
 高校生活初日、私は正直驚いてしまった。見慣れた呼び慣れていたはずの名前にも関わらず教壇に立ち自己紹介をする姿は全くの別人だった。
 身長が伸びているのはぱっと見で理解ができた。小学校低学年と比較すれば誰しもが成長を果たすだろう。見た目だってある程度は大人びているはずだ(私はそんなに大きな変化はないって周りからは言われるけど)というのも頭では充分に飲み込めたはずだった。
 ただそれ以上に絢夏ちゃんが大きく変化しすぎていたのだ。それはそれは周囲には全くいないタイプの人間へと成り代わっていた。

「初日は本当にびっくりしたよ。同姓同名の別人かと思ったもんね」
「あたしはあんたがももだってすぐに気が付いたけどな」
「私は……うん、よくも悪くも変わってないねとか親戚一同にも友だちにだって言われるけど、絢夏ちゃんは変わりすぎじゃない?」
「そうか? 元から身長は高いほうだったし、ちょっと引っ込み思案が直ったぐらいだろ」

 カップアイスを食べながら平然と言ってのける絢夏ちゃんだけれど、誰よりも一番変わった点がある。

「いやいや昔あんなに長く伸ばしてた髪! もう見る影もないじゃん!」
「それはいいんだよ。ショートのほうが楽だし」
「もったいないよぉ~」

 金髪でロングストレートだったはずの小学生時代の名残はない。
性格も過去に私の後ろにいたとは思えないほど乱雑というか、しっかりとした意志主張をできるようにもなっていたし、クラスメイトの誰とも友人になろうとはしない点を除いてはすごくモテてしまいそうだ。
今では私が腕を引かれて色んなところに連れて行ってもらっている。それも私が興味のないような世界というか、あまり踏み込むことのなかった世界にだ。

「あっ、でもそうだ。ももはあたしを変わったって言うけどな、変わらないことだってあるんだぞ?」

 そう言った絢夏ちゃんはとっさに私の頭上へと手を伸ばしてきた。
 驚いている間もなく彼女の手のひらが頭をゆっくりと撫でる。

「例えば?」
「コレ、かな」
「えっ、ちょっ、と……絢夏ちゃ──」

 呆れたように呟く私の唇を塞いだ絢夏ちゃんの唇。
 はじめての行為に顔が真っ赤になっているような感覚だった。あまりにもあつい熱が噴き出して卒倒してしまいそうだ。
 触れ合うだけじゃない。身も心も絢夏ちゃんに征服されてしまいそうな荒々しいキスに、まだ食べかけていたカップアイスを落としてしまいそうになる。

「っ……んっ、…も、も……? あたし、昔からあんたのことが好きだったんだよ」

 ゆっくりと離れていった唇。呼吸をすることさえ忘れてしまったファーストキスを終えて、私はただ深呼吸を繰り返すことしかできなかった。
 
「ももは……こんなあたしじゃもう好きでいてくれてるはず……ないよな?」

 私の呼吸が整うのを待たずに早々と自己完結をしだした絢夏ちゃんを前に、静かに首を横に振った。
 まだ心臓が早く脈打っている。彼女ときちんと目を合わせることができないほど今はまだ恥ずかしくて、ただ小さく言葉を呟くことしかできやしない。

「……ううん、今でも好きだよ。絢夏ちゃんのこと」

 頬が熱い。胸が熱い。絢夏ちゃんに対しての感情が爆発してしまいそうだ。
「変わらないんだな、あんたは」
「うん。でも私だって変わってないよ。今も昔も……絢夏ちゃんのことが大好き」

 今にも絢夏ちゃんを強く抱きしめたい。もう一度、今度はただ触れるだけのキスだってしたい。体全身で絢夏ちゃんを感じたい。
 でも、その前に。

「おかえりなさい、絢夏ちゃん」
「あぁただいま、もも」

 あの日、この街から去ってしまった友人に心からおかえりを。


(おわり。)

汚れた傷キス(BL小説)

「お疲れ、先あがるからあとはよろしくな」

 スーパーの売り場に残る後輩の夜間責任者に声をかけて事務所にあがった。
 珍しく深夜の12時を回るより先に就業終了時間を迎えた今日、暗闇に佇むタイムカードを切る。普段であれば1日の終了を示す行動のはずが、腕時計を見つめるとまだ今日という日が3時間も残されている。 

「悠矢さん、おつかれさまでーす」
「おつかれ、丸山」

 後輩の丸山慧(まるやまけい)は疲労の色を一切見せもせずにニコやかに微笑んでいた。俺、榊悠矢(さかきゆうや)の肩をぽんっと軽く叩き先輩風を吹かす余裕があるくらいだ。年齢上も、経験年数も俺のほうが先輩だというのに一切敬ってもくれやしやい。
 親しみやすい先輩になろうと努力をしてはいるがこいつの場合は少し違う。最初から俺を先輩だとは思っていないのだ。ナメられているわけではないのだろうが、先輩に対しての接し方というよりかは親戚のお兄さんみたいな?
 仕事用の深緑色のエプロンを取りながらそんなことを考えた。丸山が学生バイトとして入って来て早くも1年。たまに一緒に遊ぶ仲にまでなっていた。
 互いにタイムカードを切り終え事務所を出ると店員休憩室の先にある更衣室まで一緒に移動した。21時あがりの従業員は自分たちだけらしい。更衣室内での会話が異様に響き渡る。

「悠矢さんこの後ヒマですか?」
「まーあとは帰って寝るだけだしな、ひまっちゃひまだけど」
「……先輩ん家、遊びに行っちゃダメすかね?」

 丸山からの突然の誘い。普段であれば即OKと返事をするが、夜となるとさすがに高校生を連れ回すわけにはいかない。親御さんが心配してしまうだろう。まだ未成年の子どもが親も知っている友人の家ならまだしも、名も知らぬ赤の他人の家に泊まるなど、同性であっても喜ばれたことではない。

「今日はダメだな。なにより明日も学校だろ?」
「あー僕んとこの学校は明日が創立記念日で休みなんです」

 そそくさとロッカーにエプロンを押し込み、学校の制服に着替えた丸山はまるで俺の着替えを待っているかのようだった。

「だからといってお前と遊ぶ理由にはならねーよ」
「悠矢さん、明日休みじゃないっすか。後輩の僕を構ってあげてくださいよ」
「意味が分かんねーわ」

 丸山は妙に俺に近づいて来る。物理的距離もそうだが、ゆっくりと心にまで潜入をしてくるかのように俺を見つめるのだ。濁りのないきれいな瞳と、何処かこの世を諦めたかなのような寂しそうな目で。
 そんな彼は時折強く拒絶したら最期、いとも簡単に消えてしまいそうな脆さを俺に見せつけてくる。
 きっとそれが今だ。しかし容易く誘いに乗るわけにはいかない。

「なにより今から遊ぶ時間なんてねーだろ? こんな時間に遊ぶとか、親御さんが心配すんぞ?」

 スーツに着替えながら当たり前のことを口にする。いや当たり前だと思っていたのは自分の視野がまだまだ狭かったからだろう。自分の中での当たり前が他人もそうだとは限らないのだ。
 俺は丸山の返答を聞いて後悔をした。同時に今日くらいはとも考えてしまう。
 人様の家庭の事情なんざ興味もなければ関与するつもりは毛頭ないが、何故か丸山を放っておけなかった。この店で知り合ったのも何かの縁だろう。一人きりで夜の町に放り出すのもかわいそうだ。

「……しょうがねーな。その代わり、今日だけだぞ?」
「今日だけでいいんす……ほんとありがとうございます! 悠矢さん」
「お前……素直にお礼とか言えんだな」
「なっ! 当たり前ですよ、僕をなんだと思ってるんす?」
「うーん、感謝も口にできないガキ?」
「失礼ですねー、ほんと」

 そう言いながらも微笑む丸山は心なしか嬉しそうに見えた。
 こんな先輩を頼りにしなくてはいけない家庭環境。両親を亡くし、女遊びの激しい叔父と暮らしてると聞くと、今まで何の問題も諍いもなく平凡な人生を送ってきた俺からすると想像ができなかった。
 ただ与えられてきた幸せをそのまま飲み込み生かされてきたが、最終的には全てを投げ出し好き勝手生きはじめていた俺は、丸山のように苦労をして育ってきた環境の話を聞くことはできても今から経験することは叶わない。きっとこれからは適当に生き、苦労もろくにせずに人生を全うするのだろう。
 親によって敷かれたレールをひたすら歩き、ふとした瞬間に全てを投げ打った自分が改めて辛く厳しい道を歩き出すとは思いもしない。

「でも……ありがたいです、悠矢さん」
「バ、ッカ……もういいっての」

 人から礼を言わせる人生なんてものを考えてもいなかった。仕事中に礼を言われるがそればかりはカウントしていない。大概の人は口にするし、しないのはちょっと変わった人らだ。他人との関わりでお礼を言うのはとても重要で、意味があるということは充分に理解をしていたが普段の生活で言い慣れてはいても、言われ慣れてはいない。
 自分が礼を言われていい立場なのだろうか? と考え、答えが出ないまま新しい両親と出会ったのだ。そして弟と呼ばれる存在とも出会い温かい暮らしがはじまった。しかし実の両親との記憶は俺の闇そのもの。垣間見えることがあってはならない。

「悠矢さん……どうか、しましたか?」
「いーんや、なんでもねーよ」
「そう……ですか?」
「ったく、本当になんでもねーって! ジュースの一本でも奢ってやるから、飲みながら俺ん家に行くか!」
「はいっ!」

 店休に設置された自販機でふたり分のドリンクを購入する。丸山に手渡すと本日2度目の丸山からのお礼に気が狂ってしまいそうになった。
 自分よりも優位に立っているであろう男からのお礼など、一度過去の片鱗を思い出してしまった俺にとっては毒でしかない。一種の優しさが俺の首をジリジリと締め上げていく感覚だった。
 冷えたドリンクが実に心地いい。ゆっくりと現実世界に引き戻してくれる。尻ポケットの中で振動したスマートフォンに気が付けるようになるほど、やっと帰ってこれた。恐怖の対象が消えたこの世界に。
 ポケットから取り出したスマートフォンに目を落とした。何の顔文字も絵文字もなく、見栄えなど考えていない連絡。誰からのものかは一目瞭然だ。
 仕事の連絡でない私事のメールにも関わらずわざわざ本文欄に名前を明記するような男は、俺の周りには一人しかいない。

「よかったなー、弟が友だちの家に泊まりに行くってよ。下手に猫かぶんなくて済むじゃん、丸山」
「悠矢さんに弟さんが!?」

 スーパーの裏手へと繋がる階段を下りながら織り成す丸山との会話に悔しさを覚える。
 弟キャラだとでも言いたいのか? と疑念を抱きつつも、丸山らしい毒のある返答に少し安堵した。寂しそうな瞳ではなくなり普段通りの丸山だ。

「え、悠矢さんに弟さんがいたんすか? 意外だ……しっかりとされたお兄さんがいるイメージだったのに……弟さん、かぁ……」
「お前は俺がしっかりしてないように見えるとでも言いたいのか?」
「そうとも言えますかね」
「そう言うなよ!」

 無駄にテンポのいい会話に腹を立たせながらも、言い終えた頃には笑みがこぼれていた。
 丸山を見ていると、たまに嫌な気持ちになりはするが気が付けば頬が緩んでいることのほうが多い。同時に丸山には辛く苦しそうに表情を歪ませて欲しくはないとさえ願ってしまう。俺の前で笑っていて欲しいなどと考えてしまった。
 ──何考えてんだ、俺は。 

「……でも、羨ましいや」
「丸山?」

 階段を降りきり、裏口へと着いた途端に丸山が俺のほうへと向き直った。

「僕兄弟がいないんで……兄ちゃんとか弟とか……憧れるんすよね」

 手元にないものを無我夢中で拾い集める子どもではない。何かを得ようとすることを諦めてしまっているように見えて仕方がない丸山の微かな笑み。
 俺には扉を開ける余裕もなかった。にじり寄る彼を拒み切れずにただ吸い寄せられるように丸山の腕のなかに収まってしまう。
 搬入口を映す監視カメラには俺を抱き締める丸山の背中が映っていることだろう。
 自分よりも大きな身体に抱き締められながら冷静にそんなことを考えてみた。ここまで誰かに必要とされたことはない。俺を包む丸山の腕は僅かに震え感情を堪えているようにも感じる。

「おい、丸山? お前、どうした」

 鼻をすする音が聞こえてきた。

「あっ……ごめん、なさい。でもちょっとだけ……ほんの少しだけでいいんです、こう…してちゃ……ダメですか?」

 声が上擦っているようにも聞こえる。

「別に、いい、けど……」

 突き放すような真似はできなかった。

「ありがとう……ございます」

 人からの感謝の言葉にこんなにも胸が満ちあふれたことはない。

「丸山……?」

 丸山はゆっくりと深呼吸を繰り返す。
 そんな彼を前にしてどうした? と聞くつもりはなかった。

「……もう少し、こうしてるか? どうせ他の従業員は売り場から戻ってくることもないだろうしな」

 他人の事情に関与するつもりはない。
 ただ己の思うがままに距離を詰めようとしてくる丸山だからこそ、時折遊ぶ程度の関係まででよかったはずなのだ。
 震える体を抱き締めてやる必要もなかっただろう。

「まる、やま……?」

 ゆっくりと離れていく丸山の体。
 向き合う形にまで距離を置いた彼は目尻を濡らし、微笑んでいる。

「意外と……年上らしいとこもあるんすね、悠矢さんも」

 少ししてから呟いた言葉の節々に、喜びが見え隠れしていることに気がついた。

「ありがとうございました! もう……大丈夫です」

 丸山からのお礼など今日何度目だろうか。

「悠矢さん……本当にありがとう」

 唇さえ奪われる感謝など俺は知らない。

「……お前、今……何を?」
「僕は今、あなたにキスをしました」
「……どうして?」

 優しく触れ合った唇の感触もはじめての感覚だ。

「僕は……あなたのことが好きだからですよ。悠矢さん」

 丸山の言葉に一度静かに空気を飲んだ。
 俺には知らないことだらけだった。
 不意に内臓がせりあがり全てをぶちまけたくなってしまうほど、今にも自分が自分でなくなってしまいそうだ。体中に悪寒が走って仕方がない。

「……すまん、お前の気持ちは多分……嬉しい…でも、ごめんな……丸山」
「悠矢さん!?」
「ううっ…っ、ぐっぅ……ぁぁ、っ…」

 体の中が無作為に締め付けられて中身が逆流する。
 お昼に食べたものも、空気と合わせて飲み込んだだけの唾液さえもが、胃液と一緒に溢れでてしまいそうだった。
 俺を呼び止める丸山の声などもう十分には聞こえてこない。慌てて両手で口を押さえ込みながら、たった今降りてきたはずの階段を一目散に駆け上がった。
 全てを吐き出してしまいたかった。重たく黒い箱に閉じ込めていたはずの記憶。二度と思い出すつもりのなかった男との生活など抹消できたらよかったのだ。

「悠矢さん! 待って、悠矢さん!」

 明かりを付ける余裕もない。ただ店員休憩室に駆け込んで、俺は水場に全てをぶちまけた。
 逆流した胃液の酸っぱさが口内に広がる。そして過去への嫌悪感と、丸山の前で醜態を晒し更には彼を傷付けてしまったであろう悲しみに打ちひしがれるばかりだ。

「……悠矢……さん?」

 後を追いかけてきたのか勢いよく扉が開かれた。
 彼の瞳に映るのは口端から雫をこぼし、今にもここではない何処かへ旅立とうとしている俺の姿。
 もう忘れたつもりでいた。思い出すつもりもなかった。消してしまいたかった己の過去が唐突にこの身を覆い尽くした。瞬間的に体のバランスを取れずに倒れ込む。

「…すまん、お前は……なにもっ…くっ……わるく、な、い……から」

 この後に及んで丸山の心配、か。ありえない。今の俺はどうかしている。

「悠矢さん! 今、水を!」

 体の震えが止まらない。気色悪いあの男の感覚が全身を這うようだ。この身に刻み込まれた実の父の熱が今になって思い返される。
 はじめての口付けは父。舌を噛み千切られるんじゃないかとさえ錯覚してしまうほどの荒々しいものだった。今までにない感覚と怖ろしさに涙も止まらず、未だに唇を塞がれるだけであの日の絶望がこの身を覆う。

「僕の声が! 聞こえてますか!」

 泣きじゃくる幼い俺の抵抗は虚しく、父は熱く滾る肉棒を無理矢理小さな躰に捩じ込んできた。身体が引き裂かれてしまうのではないかと感じるほどの痛みと、狂気を孕んだ実父の悦びに浸る呻き声が頭の中を駆け巡った。
 どのくらいの時間俺とその男が繋がっていたかどうかなんて分からない。十分、二十分とそいつと過ごしていくうちに終わることのない拷問なのだと幼いながらも思い至った。単なる泣き声が悲鳴に変わり、いつしか声を上げることさえも止めてしまった。男は俺の反応などどうでもよかったのだ。ただその身に生じた熱い昂ぶりを治めるために子供を利用した。子供でないと治めることができなかったから。

「悠矢さん!」

 性欲に塗れた汚らしい野獣がこの身を襲っているのだと思えば、まだ心を保つことができてしまった。この男は実の親でもなければ人間でもない。理性なき獣なのだ。声を聞き入れることも言葉が通じるはずもない。
 毎夜のように楔を打ち込まれ、気が付けば抗うことも泣き叫ぶことも暗闇の中で光を求めることさえも止めた。
 この場から逃げることはできない。俺は延々と獣の熱を注ぎ込まれるだけの存在なのだ。

「誰かを呼んでこないと……!」

 昼は周囲にいい親、できた子供だと見せ付けているようだった。
 若くして起業し、類稀なる才能と人心掌握術で富と名声を手に入れた祖父の財力しか引き継げなかった父は俺に英才教育を施し、自分の代で消失させてしまった富を今一度得ようと躍起だったのだろう。
 なんとか失わずに済んだお金を俺の将来のためにと用いては、人生を棒に振らず、金のなる木とするために踏み外し難いレールを敷いた。二言目には両親揃って「悠矢のためだ」「お前が……あなたが……お祖父様のようになるためだ」などといい、結局は両親が苦労も何もせず豪遊をしたかっただけなのだろう。
 幼少期から友人たちと呼べる存在と子どもらしく遊んだことがなかった俺が、小学2年生にもなりはじめて親に意見をし「みんなと遊びたい」と言った日の夜だ。ただ友人と遊びたかった、それだけだったのに。
 野獣が俺を襲ったのだ。

「悠矢さん! 待ってて下さいね! 僕が、誰かを──」

 それまで両親は何かと我慢をしていたのだろう。俺を祖父のような人間にし富を得るために全身全霊をかけていたのだ。周囲の人間に振りまいていた見栄さえもが爆発し、男は獣と化し、女は一度その男にも止められないほど喚いた。そしてその日を境に別の男を作り出て行ったらしい。
 男は昼夜異なる顔を持ったまま、親の顔をした獣として俺を使役した。事あるごとに男は俺に言うのだ。

『お前は俺自身のために生かしているだけだ。生かされてること、俺への感謝を忘れるなよ』

 首の骨が軋む。意識が遠退いていくなか俺は男に抱かれ続けた。

「……は、やと……はや、と……お、おれ……」

 最早自分が何者かも分からない。

「悠矢さん!」
「…ぁ……は、……や…と……?」
「悠矢さん! 僕です! 僕は丸山慧です!」
「……ま、る…や……ま……?」

 痛みさえもがなかった。痛覚など忘れてしまった。

「お、……ま、え…は……わ、るく……な…っ」

 目を開いているのかどうかさえ分からない。
 暗闇の淵に立たされ行く宛もなくただ意識を手放した。けれど深い闇の中を彷徨うのはこれが初めてではない。
 今まで幾度となく彷徨いその度に失ったはずの光を求めていた。

「……ゆ、うや……」

 掴み直すことのできない輝き。もう二度と降り注ぐはずのない光。

「……ゆう、や…さ、ん!」

 堕ちたはずの俺に指し伸ばしてくれる手のひら。

「…ぁ……ぁれ………ぉれ…は……?」

 いつの間にか閉じていたまぶたをゆっくりと持ち上げた。
 少しずつ差し込む光はとても眩しく無意識のうちに目を細めてしまう。

「……ま、る……や…ま……なんで……な……いて」

 着実に明らかになっていく姿。嗚咽を漏らし、涙をぼろぼろとこぼす丸山ははじめて見た。

「…こ、こは……どこ…?」

 周囲を見渡せはしなかった。差し込む光だけでは判断ができないが柔らかな感触と、手のひらにじんと伝わる温もりが確かにそこにはある。

「悠矢さん! よかった……よかった! 僕すごく心配で……っ!」

 かと思えば視界は再び闇に覆われてしまった。しかし恐怖はない。どくんどくんと温かな胸の音が響き渡る。
 久しぶりに感じた人の優しい温もりだった。

「ぉ、ぉぃ……ま、る…やま……く、苦しい…よ……」
「あっ……ご、ごめんなさい!」

 改めて降り注がれる光の粒子に俺は小さく息を漏らした。
 過去から逃れられないまま閉じ込められてしまったのかと思った。封じ込めていたはずの弟ら家族と出会う前、実の両親との記憶に強く苛まれていたのだ。昔のことだと割り切ることができない。
 何年経とうが変わることなく心を蝕み続ける。
 解放されることはないだろう。だがその都度助けてくれる人たちがいる。

「あり、が──」
「悠矢、オレに礼はいらんからな」
「え……?」

 思いもよらない言葉に大きく瞬きをした。

「もし、かして……はや、と…?」
「このガキからいきなり電話があってな。お前が倒れたって言われてよ。何事かと思って職場まで飛んでみたら……コイツ、話を聞きゃあオレと同じことをしでかしたみたいでな」

 体に力を込めて起き上がろうにも丸山に静止されてしまった。
 それに気が付いてかゆっくりと近づいて来る男を俺は知っている。

「よっ、久しぶりだな。悠矢」

 俺や丸山よりも一回り大きな体躯。低く力強い声。そして意外にも優しく何度も俺を救ってくれた男。

「隼人……うん、ひさし、ぶり…」

 数ヶ月ぶりに再会した男は無精髭を蓄えていた。
 乱雑そうに見えて実は繊細なこの男は俺の頭をゆっくりと撫で、安堵の溜息を漏らした。

「お前が引っ越してなくてよかったわ。じゃなきやスーパーで夜を過ごすところだったからな」
「……えっ?」
「お前、覚えてねーのか?」
「いや……覚えてなくては…ない、けど……」

 記憶の糸を何重にも辿れば思い出せる。丸山との会話、行為、──そして唇の感触。

「…うっ……」
「バカ、無理すんな」
「……ごめん…でも、……これじゃあ、丸山が…!」

 かわいそうだ、とでも言うつもりだったのだろうか。
 涙を流す彼を前にして、改めて責めているように感じ取られてしまう可能性だってあるのに。

「…悠矢さん、僕は……大丈夫ですから。それに謝らなくちゃいけないのは……僕のほうですし」

 真っ赤に泣き腫らした瞳。

「悠矢さんが遊佐さんの名前……隼人と口に出してくれて助かりました。でないと僕は……なにもできなかった。僕があなたを追い詰めてしまったのに……それなのに、悠矢さんに謝られてしまったら……僕は…」

 嗚咽を堪え涙ながらに発する言葉。

「……僕が…悠矢さんを傷付けてしまった……本当にごめんなさい」

 今まで見たことがないほど大量の涙をこぼす丸山に俺は何も言ってあげられなかった。

「悠矢……俺はもう帰るぞ」
「い、いや……遊佐さんが残って下さい。…僕が、帰りますから……」

 ゆっくりと立ち上がった丸山の足元を、今込められるだけの力を込めて掴んだ。

「…まる、やま? それじゃあ今度は……お前が!」

 お前が辛い目に遭うだろう。そう言ってやるのが俺の役目とさえ思ってしまった。
 隼人からしたらどっちもどっちかもしれない。それでも俺はわざわざ危険な場所に丸山を送り出すことができない。
 叔父の元に女がいればまだいい。おらず酒に塗れていたとしたら丸山までもがその身を奪われてしまいかねない。

「行くなよ……丸山。俺ん家、泊まってくんだろ?」

 隼人には笑われてしまうかもしれない。さっきまで気絶してた奴が他の男の心配をしている余裕はないと笑われ、終いには呆れられてしまうだろう。
 それでも俺はどうしてか丸山を放っておくことができなかった。
 ここで彼の手を離してしまったら、もう二度と顔を合わせられないような気がしたのだ。

「俺はもう……平気、だから、な?」
「悠矢さん……!」
「丸山、だっけ? コイツは意外と強情だー、言うことは聞いといたほうがいい。じゃねーと地の底まで追ってくる」
「いや……さすがにそこまではしないと思うけど……多分」

 断言できないのがまた怖いところだ。

「なぁ、頼むよ。俺のためだと思ってくれてもいい、俺は……お前を失いたくない、だから泊まってってくれ」

 一人になったらまた思い出してしまう可能性がある。
 暗闇に投げ込まれてしまったら、その場にいるはずのない狂気に冒された男の夢を見てしまうことだろう。

「お願いだよ、丸山」
「……悠矢、さん……」
「まっ、泊まってけって。また何かあったらオレを呼んでくれて構わんから。こいつのためならいつでも飛んできてやる」
「わ、わかり……ました」

 渋々了承した雰囲気の丸山は店内にいた最中ほどの覇気はない。
 相当気にしているのだろう。自分のせいではないかと疑い、責めている。昔の隼人のように。

「それじゃあ……よろしくお願いします、悠矢さん」
「あぁ、こちらこそよろしく丸山」

 キリがいいのを見計らってか、隼人がバイバイと言いたげに手を振り出て行った。
 きっと彼なりに気を遣ってくれたのだろう。いくら昔交際をしてたとはいえ今は友人という枠に戻ったのだ。時折心配だからと連絡を寄越してはくれるが、それ以上のことはしない。無論今回のような非常時は別だが、普段はただ互いに近況を話すだけ。
 もしかしたら勘付いたのかもしれない。俺が異様に丸山を気にかけていることを。

「丸山……頼みたいことがあるんだが、いいか?」
「はっ、はい!」
「手だけでいい、握っててくれないか?」

 実父に手を握られた記憶はない。幼少期の頃から手を繋ぎ何処かへ出かけたことがないからかこれだけは平気だった。
 こうでもしないと丸山が勝手に出て行ってしまいそうな気がしたというのもあるけれど、俺の中に眠る恐怖が少しずつ減少していくのではないかと願ってしまう。

「本当は俺がソファーで寝てやるべきなんだろうけど……今日はその、一人で眠るのが……怖いんだ。だから……」
「分かりました。それじゃあ……僕はできるだけベッドの端に寄ります。でも手は繋いで……こんな感じなら大丈夫ですか?」

 ベッドの端と端に横になりながら手だけを繋ぐ。仰向けでは何者かに覆われてしまいそうな怖ろしさと、俯せでは臀部が上になるからかつい思い出してしまう。横向きであれば──。

「うん、大丈夫そうだ。ありがとう、丸山」

 感謝の言葉に偽りはなければ、幼い頃から示され続けた変な認識もなくなってきている。生きるために使用する言葉ではない。
 ただ素直な感謝を告げるのための言葉。

「……それなら…よかった」

 しかし丸山の気持ちに現状答えることはできない。たった今、丸山には非情な我慢を虐げている可能性があるということは自負している。
 好意を寄せている相手と同じベッドで眠るのだ、一般的にも次へと繋がる日になることだろう。
 だがまだ答えられそうにはない。
 俺はまだ丸山の手のひらに温もりと僅かな力を込めるだけで精一杯なのだ。

「丸山」

 いつの間にかまぶたをおろしていた丸山が聞いているかは分からない。

「もう少しだけ……待っててくれ」

 小さく頷いたように見えたのは気のせいかもしれない。

「いつか……お前のことを」

 確定的ではないけれど。
 丸山慧のことをちゃんと好きになる日が来るまで待っててくれないか。

「……なんて、な……おやすみ、丸山」



(おわり。)

制作実績

掲載可能な受注実績はありません。


得意分野

脚本・シナリオライティング

経歴

2018.11
 全年齢女性向け音声作品の台本作成
 成人男性向けバイノーラル音声作品の台本作成
2018.10
 全年齢女性向け音声作品の台本作成
 成人女性向け音声作品の台本作成
 全年齢男性向けバイノーラル音声作品の台本作成
 女性向け官能小説の執筆
2018.09
 全年齢女性向け音声作品の台本作成
 男性向け風個人様宛の小説執筆
 女性向け官能小説の執筆
2018.08
 同人アニメのレビュー作成
 百合風味ボイスドラマの台本作成
 女性向け官能小説の執筆
2018.07
 成人男性向け音声作品の台本作成
 全年齢女性向け音声作品の台本作成

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