7.商品・サービスの採算

コスト

自分の時間や自分の仕事の真の価値を知らなければ、ビジネスを持続的に発展させることはできません!
今回は、みなさんの仕事に掛かる費用(コスト)をどのように見積もればよいのか、基本的な知識を提供します。
前々回の「5.資金調達」と、次に解説する「8.商品・サービスの価格設定」とも関連する内容です。

覚えておきたい基本事項

まずは、以下の内容を覚えておいてください!

  • 現実的なコスト見積もりを行なわない限り、あなたにぴったりの顧客や市場(マーケット)を見つけることはできません!
  • コストとは お客に対する「売値」のことではありません。家賃、水道光熱費、人件費、材料費などなど、あなたが仕事をするうえで実際に掛かる諸々の費用のことです。
  • 売上の有無や大小にかかわらず、常に一定して掛かる費用のことを「固定費」といいます。家賃、水道光熱費、通信費、人件費などがそれにあたります。
  • 製作量や売上の大小に直接比例して増減する費用のことを「変動費」といいます。材料費、外注工賃、荷造・運賃などがそれにあたります。
  • あなたが学生の時は、材料や時間といったものをコストとして考える必要もなかったかもしれません。しかし、ビジネスでは、すべてのものをコストとみなして予算を立てて考えることが必要です。
  • 自分の仕事のコスト計算の第一歩は、あらゆる出費について詳細な記録をつけ続けることです!
  • たとえあなたが商品の製造を行なわず、デザインやイラストのサービスのみを提供している方であっても、自らの仕事のコストはしっかりと把握していなければなりません。あなたの「時間当たり単価」があらゆる出費をきちんとカバーできるようにするためです。
  • コストや利益の計算について、いちど講座を受けたり勉強してみたりすることを強く勧めます。

クリエイターのための簡単な採算練習

STEP1

あなたの事業の1年間の「固定費」、すなわち売上の有無や大小に関係なく必ず支払わなければならない経費を計算してみましょう。

年間の固定費
右図の事例は、事業の年間の固定費を300万円としたケースです。

これらを1週間単位に直すと、どの程度の金額になるのか計算してみましょう。
まず1年のうち休暇期間として見込んでいる週数を除き、年間にあなたが働く週数(ここでは48週とする)で総額を割ってみます。
すなわち、3,000,000(円)÷48(週)=62,500円 となります。

もし実際の制作に費やす時間量が少なければ、その結果として、提供するサービスや商品の量も少なくなるでしょう。
あなたがどれだけの量の商品やサービスを提供しようと固定費は常に一定ですから、商品やサービスをたくさん売れば売るほど、単位案件(商品)当たりのコストは低く抑えられるし、利益を大きくすることができます。

週当たり何時間を制作に費やしているか(物理的に「ものを作っている」時間です)を計算してみましょう。
これは重要です。なぜなら、これがあなたが作ることのできる限界数量を決定するからです。そして、もっとスピードアップして作るべきか、あるいは外注先を起用(またはスタッフを雇用)すべきか、といった決断をするための判断材料となるからです。

仮にあなたが1日8時間、週に5日働くとしましょう。
あなたはそのうち2日を事務管理やマーケティングや営業に費やすことになるかもしれません。そうすると、実際に制作に取り掛かれるのは3日だけです。
1日8時間をそれに費やすとすれば、あなたは週当たり、制作に 8(時間)×3(日)=24時間 を費やすということになります。

(現実には、開業後の数年間は、おそらくあなたは、これよりもずっと長時間働くことになるでしょう。とはいえ、”持続可能” な数字に基づいて時間やコストを見積もるべきです。
あなたがもし1日10時間、週6日働くことをベースに計算したならば、あなたはずっとこのスケジュールに則って働き続けなければならなくなります。
逆に、作業時間を極端に少なく見積もりすぎると、こんどは単価をかなり高く設定しなければならなくなります。)

週当たりにあなたが制作に費やす時間(上記で算出した24時間)を用いて、時間当たりのコストを計算してみましょう。
あなたの週当たり固定費は先ほど計算したように62,500円です。これを今度は労働時間で割ってみます。
すなわち、62,500(円)÷24(時間)=約2,604円 となります。

(もしあなたが毎週もっと多くの時間を制作に充てるならば、時間当たりのコストはもっと低くできます。
たとえば週当たり24時間ではなく30時間だとすれば、62,500(円)÷30(時間)=約2,083円 となりますから、あなたの利益はその分多くなるし、あるいはその分売価を下げることもできます。)

もしあなたが非常に多くの時間を、営業などのように制作とは直接関係しない仕事に費やすとすれば、あなたの時間当たりコストは上昇します。
これはなぜかといえば、あなたが実際に制作活動に費やすことのできる時間が少なくなり、その結果として、「1週間当たりどれだけ作れるか」という点で受ける制約が大きくなるからです。そうした場合、あなたは週当たりの固定費を賄うため、時間当たりに、より高いコストをカウントしなければならなくなるし、販売価格も高くせざるを得なくなるでしょう。

覚えておきましょう。
あなたの事業経営者としての人件費は数字上、固定的に掛かるのです。
たとえ何も売れなかったとしても、売り上げがゼロだったとしても、あなたは生活していくためのカネが必要なのです。
顧客が全然いないからといって、あなたの生活費の出費は止まることはないのです。
だから、開業当初はパートやアルバイトをしているデザイナーも少なくありません。
そうすることで毎週の収入を確保し、生活コストを賄い、制作や市場開拓の時間的猶予を作り出しているのです。
そしてもし事業が軌道に乗ってきたらパートやアルバイトをやめます。

STEP2

次に、あなた自身の人件費を計算してみましょう。(つまり、あなたが生きていくために稼ぐべき金額です。)

あなたの個人的生活に掛かる出費のリストを作りましょう。休日に必要な費用や、個人的に加入する保険や、家賃、食費、交通費、衣服など、毎週どれだけのお金が必要かということに、あなたは驚くでしょう。
現実的になるべし - あなたのお金はどこからか入ってくる必要があり、そしてあなたの生活コストが高ければ高いほど、あなたの人件費や事業の固定費も高くならざるを得ません。
そしてこれらは最終的には売価に反映することになります。

クリエイター自身の人件費
クリエイター自身の人件費の例として、右図をご覧ください。

このリストの合計420万円を48週で割ってみると、4,200,000(円)÷48(週)=87,500円 となり、これがあなたの週当たりの生活予算です。
あなたの週間生活費である87,500円を時間当たりコストに直すには、この87,500を制作に費やす合計時間で割ってみれば良いです。
すなわち、本事例では1日当たり8時間が週3日だったから、計24時間で割れば良いのです。
すると、87,500(円)÷24(時間)=約3,645円 となります。

STEP3

あなたの「時間当たりコスト」を、あなたの人件費である3,645円と先ほどの固定費2,604円とを合わせて算出します。
するとあなたの時間当たりコストは、あなたの人件費3,645(円/時間)+事業の固定費2,645(円/時間)=1時間当たり6,290(円) となります。

STEP4

次に、制作に必要な時間を計算してみましょう。そして、あなたの時間当たりコストである6,290円を、制作物1点当たりに割り当ててみましょう。
デザインやイラストのサービスのみを提供している方は、「イラストカット1点」「A4チラシ1枚」などの平均制作時間を求めることで、必要な時間と固定費を算出できます。
たとえば、あなたがイラスト1枚を描くのに3時間かかるとします。
そして、あなたの時間当たりコストは6,290円でした。つまりこのケースでは、3時間当りにイラスト1枚を製造するのだから、イラスト1枚当りに掛かる固定費は 6,290(円)×3(時間)=約18,870円 ということになります。

STEP5

制作物1点ごとの材料費を加えましょう。運送費や包装代など制作物ごとに付随するコストも忘れずに加えること。(材料費等の合計をm円とする。)

∴ 6,290+m 円/点

STEP6

約10%の臨時費用をあらかじめ加えておきましょう。予期せざる追加費用やその他失敗に対して引き当てる費用です。(いずれもっと経験を積んだ時点で、臨時費用の割合は減らしていくべきでしょう。)

∴ (6,290+m)×1.1 円/点

STEP7

最後に、あなたの利益(p円)を加えましょう。

∴ (6,290+m)×1.1+p 円/点

どのくらいの利益が必要かは、資金繰りを賄い、事業を拡大発展させるためにどれだけのお金が必要かによります。
とはいえ、新しく立ち上げたビジネスの多くは、最初の2~3年は利益を出すことができないのが普通です。
なぜなら、生まれたお金のほとんどは、販促活動や事業育成や新材料・新設備への投資に消えてしまうからです。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました!次回は、「8.商品・サービスの販売価格設定」として、今回のお話を踏まえ、価格設定の問題に触れます。Skillotsの「料金の目安」の設定にも参考になるでしょう。
記事に誤りなどがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。また、ご意見・ご感想などもお気軽にお寄せください。
「こんな内容の記事を書いて欲しい」「こんなことで悩んでいる」などのご要望やご相談もお気軽に!

この記事の著者

藤田 健プランニングディレクター

Skillotsを含むエフ・プラット株式会社の全てのサービスの企画・運営責任者。
神奈川県出身・中野区在住。

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  1. 2014年 10月 31日


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