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Jp 日本語

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Industory

Specialty

Self-Introduction

Forward is in a special position and essays on the unique perspective of the late.
LGBT, GLBT, dissociative identity disorder, if you are interested.
Because there the past were engaged in the sex industry, oddly enough in your industry.
Staggering to say the hobby a few times, like tea and kimono, is knowledge if a simple column you write.
On a daily basis we had in Lolita fashion, so profound thought in there. I half hobby, writing stories and illustrations.

  • Creator ID:13295
  • Gender:private
  • Age:private
  • Career:9year(s)
  • Area:Japan
  • Last Login:More than 3 months ago

Works

マッチ売りの娼婦

十二月も終わりに近づいて、東京に初めての六花が舞った。

私の故郷には雪が降らない。
遠くへ来てしまった事を、耳が千切れそうな寒さに感じていた。
浮き足立った街の空気と裏腹に、刺すように冷たい雪風がコートから覗く脚に吹きかかる。

─疲れた…今日はもう帰って寝よう。
池袋駅の東口を抜けて、通勤客の波に逆らいながら、我が根城の安ホテルに向かい、フロントで遅れた分の宿泊代を支払ってから、部屋に着くなりベッドに倒れこんだ。


昨日は珍しく忙しくて、朝から朝まで働いた。
後見人に渡したお金に余りが出たのでリカーショップで買った酒と食料にも、手をつける気力もない。

外の自販機で買った温かいミルクティーを飲みながらテレビをつけたら、魔法少女物のアニメをやっていて、なんとなく流し見ていた。
巨悪に立ち向かい戦う少女達は美しくも力強く見えて、所詮は絵空事なのに、何故か見続けてしまう。
エンディングテーマになってふと気がつくと、缶が冷たくなっていた。

面白かったのかは判らない、ただ画面が動き回るさまに見入っていただけ。
感受性が死んでいる。
もう自分の損得とか、感情とか、快不快、そういった事は殆ど考えられなかった。
只、毎日、一日のどこかで死が思考の片隅を微かによぎった。


─例えば今死んだら、私が死んだ事に誰か気づいてくれるだろうか。

悲しんで欲しいとは思わない。
それでも家族が、恋人が、古い友人が、暫く私の死に気づかず過ごす事を思うと、寂しさで少し陰鬱な気持ちになった。

身分を証明するものは、もう何もない。
私が誰だか、すぐに判るものは今は何もない。

今日私が死んで、私が私だと判明するまでに、どれほどの時間がかかるだろう。
もしかしたら身元が明らかになる前に、何処かにうち捨てられるかも知れない。
私は、自分の存在の希薄さに絶望していた。

気が滅入って眠れなくなったので、シャワーを浴びて散歩に出る。
濡れた髪が頬に張り付いて冷たい。


大阪に住む恋人に逢いたい。
もう半年も顔を見ていない。

─元気にしているだろうか?
─学業は順調だろうか?

風邪を引きやすい彼の体調を慮る手紙を幾度も書いたけれど、とうとう一通も出せなかった。
八十円の切手を買う小遣いを得る事も出来ないから。

自分の現状を、惨めだと思った事はなかったように思う。
逆に、良い方向へ向かっているのだと思っていた。
否、寧ろ努めてそう思わないと、自分を見失いそうだった。


大事な話はいつも、自称後見人の家か誰かの車の中だった。
途中で違和感を覚えても、完全にアウェイな状況で口を挿むのは危険だと思った。

どこかおかしいと思いながらも、口に出す事は出来なかった。
言えば二度と誰にも会えなくなる気がした。

それまで聞かされた数々の私の先達は皆殺されるか、廃人にされていた。
凄惨な殺害方法、周到な証拠隠滅、全身を冷たい薬に侵され、何処とも知れぬ遠い国へ売られた女の子達。

彼女の話が嘘か誠かは、知る由もない。
けれど今の私には、彼女の言葉だけが私の生きている社会の真実だった。


嘘を吐いてでも、搾り取れ。
周りのものは、全て利用しろ。
私が引きのポーズをとると、必ず彼女はそう諭した。

親でも、友達でも、彼氏でも、客でも、借りられる奴は幾らでもいるだろう。
言われた金額分、お前が作れないなら、借りてでも盗んででも用意しろ。

その言葉の奥には、暗黙の続きがあった。

”出来なければ、殺す”


殺される事は、正直あまり怖くなかった。
だけど、誰にも知られずに死ぬのは嫌だった。
だから、借りてでも、盗んででも、身体を売ってでもお金を作った。

殺されるのは嫌だ。
ただ、それだけで、死に物狂いだった。


お金を作らなければ眠る事すら許されない。

明日の始発が出るまでに、六万円。
日付けが変わるまでに、十万円。
突然入用になったから、五万円。

言われた通りの金額を用意しなければ、殺される。
実際は只の脅しかも知れない、しかしそんな事を仄めかしてお金を要求する彼女に、私は逆らえなかった。

死にたい、だけど殺されるのは嫌。
やや矛盾した思いで、私は自身の死に怯えたり憧憬を抱いたりしながら、只、生かされていた。



─来年の今日、私は、この世には居ないかも知れない。
そう思って私は傘を畳み、生きている実感を得ようと、降る雪を頭に受けた。

友達

「えーっと……こ、ん、に、ち、は、っと。……これでいいのかな……」
 愛莉栖はポケットベルにメッセージを入れるのに苦心していた。この間初めて会った、名前しか知らない男の元に、もう一度行こうというのだ。家族には風邪を装い学校を休んで、誰も居ない家の電話からティーンズ誌の特集を見ながら初めてメッセージを入れてみる。暫くすると、電話が鳴る。
「も、もしもし……」
『もしもし?どちら様ですか?』
 訝しがるその声に、聞き覚えがあった。そういえば、自分の方は番号を教えていない事に、今更気づく。
「あ、あの、愛莉栖です。この間、病院で会った……」
『………! あぁ、あの時の! 今日はどうしたの? 平日だけど、学校は? 』
「あ、休んじゃいました。風邪っていう体で……」
『サボりは良くないよー。……まぁ、僕はまたあなたの声が聞けて嬉しいけどね』
 鉱二は、優しい声で愛莉栖の事を咎めるでもなく諭した。
「……ごめんなさい」
『怒ってるわけじゃないよ。それで、今日はどうしたのかな? 』
「あの、鉱二さんに会いに行こうと思ったんですけど、今日は何処に居るんだろう、って……」
 鉱二は、愛莉栖の言葉を聞いて、メモに住所を書いていない事を思い出す。
『自宅に居るよ。住所教えるから、メモってくれるかい? 』
 愛莉栖は、鉱二から渡されたメモに、教えてもらった住所と、最寄のバス停への行き方を書き記す。そこは、愛莉栖の家からバスで30分程の住宅街にある、二階建ての瀟洒で立派な邸宅だった。

「やあ、いらっしゃい。……暑かったでしょう、今、水出しのアールグレイを淹れてるから、適当に座ってて? あ、土足で構わないよ」
 前回会った時より、少し顔色が良い鉱二の様子に、愛莉栖は心なしか安堵を覚える。
「……お邪魔します。あの、急に来たりしてごめんなさい、ご家族の方は……? 」
「ここには僕だけしか住んでないよ。時々、芳雪も居たりするけどね。基本的には僕一人だから、遠慮しないで」
「こんな大きなお屋敷に一人で……? 寂しくないですか? 」
 愛莉栖の質問に、鉱二は笑いながら答える。
「今日のあなたみたいに、様子を見に来てくれる友達が居るから、それほど寂しくもないよ。……ありがとう」
 そう言いながら、鉱二は愛莉栖によく冷えたアールグレイと、カラフルなフルーツタルトを勧める。
「……愛莉栖ちゃん、一つ聞きたいんだけど……、ここに来る事、誰かに話した? 」
「いいえ? きっと話したら止められますから。誰にも話していませんよ? 」
 鉱二は複雑な表情で愛莉栖に問う。
「僕が言うのもなんだけど……、あまりよく知らない大人の家に遊びに行くのは抵抗ない? 」
「んー……、鉱二さんは、前に会った時悪い人に見えなかったから、いいかなー、って」
 鉱二の表情が、ますます複雑なものになる。

「でも、来てみてやっぱり思いました。鉱二さんは、悪い人じゃないな、って」
「どうして? 」
「自分から手のうちを全部見せちゃってるじゃないですか。それは嘘かも知れないけど、鉱二さんって頭良さそうだから、吐くならもっと上手な嘘吐く事だって出来るはずなのに、しないんですよね」
 愛莉栖は、タルトのブルーベリーをフォークの先で突付きながら続ける。
「少なくとも、私を傷つける目的だったなら、こんな穴だらけの方法で自宅に招いたりはしないでしょう? 」
「……あなたは、本当に頭が良いな。こっちが怖くなる」
 鉱二は、笑って応えるが、愛莉栖の目は笑っていなかった。
「自宅の住所や電話番号を教えっ放しで、隠滅しようともしない時点で、誘拐計画は失敗ですよ? 」
「確かに。それもそうだね。まぁ、そんなつもりは毛頭ないんだけどね……」
 でも、と鉱二は続ける。
「あなたにもう一度会ってみたいな、とは思ってた。だから、今日は来てくれてありがとう。また会えて嬉しいよ」
「それは私もです。学校の詰まんない人達の相手するよりずっと楽しかったから、また会えて嬉しいです」
「相変わらず、学校は楽しくない? 」
「はい。なんか、男子は廊下ですれ違うだけでぎゃーぎゃー煩いし、女子はお友達ごっこの輪に入らない私を疎ましがってるみたいですし」
 そりゃ気苦労が絶えないねぇ、と鉱二は苦笑する。

「先生は私の事、腫れ物に触るみたいな扱いで……なんか、私が居ない方が平和みたいです」
「そっか。……愛莉栖ちゃん、学校が居づらいなら、ここに居ると良いよ」
 鉱二は、少し冷めた紅茶を啜りながら愛莉栖に提案する。
「『サボりは良くない』んじゃなかったんですか? 」
「勉強をサボるのは良くない、って事だよ。勉強はここですればいいじゃない、僕が見てあげるよ。こう見えても一応大卒だから、あなたの勉強見るくらいは出来るよ? 」
 愛莉栖は少し考えてから答える。
「鉱二さんのご迷惑になりませんか? 」
「全然。寧ろそうしてくれると嬉しいんだけど……やっぱりよく知らない大人の家は心配? 」
「そんな事ないです。私は鉱二さんさえ良ければ、ここにまた来たいです」
「じゃあ決まりだ。明日、学校に着いたらメッセージ寄越して? 迎えに行くよ」
「わかりました。……ふふ、なんか、おかしい……」
 愛莉栖が、心底楽しそうに笑う。

「……愛莉栖ちゃん? 」
「いえ、ごめんなさい。……なんか、こんなちゃんとした大人の人と悪い事する計画立ててるの、楽しくなってきちゃって……」
「僕はちゃんとした大人じゃないよ……? 仕事もしてないし、結構いい加減な計画性は、もうご承知の通りだし」
「まぁ、物は言いようですよ、良くも悪くも。言う人によって、何とでも言えます」
「愛莉栖ちゃんは本当に賢いな……、勉強とか、実はそんなに必要ないんじゃないかと思えてきた」
「いえ、必要ですよ。まだまだ知らない事、沢山ありますから……」
「じゃあ、そんな愛莉栖ちゃんに宿題。……この本読んで、感想を聞かせて? 」
 そう言って鉱二は、壁面収納の本棚から一冊の文庫本を手に取る。鉱二から渡された本の表紙には『ジュリエット物語』と書かれていた。
「ジュリエット……シェイクスピアですか? 」
「マルキ・ド・サドだよ。『悪徳の栄え』って知らない? 」
「いえ、初耳です……結構分厚いですね、明日までに読み終わるかな……」
「期限は特にないよ。読める時に好きなだけ読んで、しっかり感想を練ってから聞かせて欲しいな」
 鉱二が笑いながら愛莉栖に言う。愛莉栖はぱらぱらとページを繰りながら、さわりだけでも理解しようとする。
「なんか……難しそうなので、おうちに帰ってからゆっくり読みますね。鉱二さんの期待に沿った感想が出ると良いんですけど」
「うん、楽しみにしてる。あ、そうだ。さっきから思ってたんだけど、愛莉栖ちゃん、敬語とか止めにしない? 」
「え、でも、鉱二さんは私より年上だし目上の人だから……」
「あとそれ、その『鉱二さん』っていうのも。せめて『さん付け』は止めよう? 」
 鉱二は当惑する愛莉栖の目線と同じ位置に顔を寄せて続ける。

「僕達、友達になろう。友達なんだから、変な遠慮とか無しだよ? 敬語も『さん付け』も。……嫌かな? 」
 愛莉栖は突然の申し出に戸惑い、もじもじしながら答える。
「嫌って事はないです、けど……鉱二さんは大人だし…私と友達って、どうしたら……」
「うん、僕は今から大人ぶるのを止める。あなたを子ども扱いもしない。友達だから、対等だ。……どうかな、愛莉栖ちゃん? 」
 愛莉栖は少し逡巡した後、思い切った様に答える。
「……はい。じゃあ、私は鉱二さんを何て呼べば良いですか? 」
「呼び捨てで構わないよ。僕は女の子を呼び捨てには出来ないから『愛莉栖ちゃん』って呼ぶけど、それで良い? 」
「わかりました。……それじゃあ、これから、よろしくね? ……鉱二」
「うん、よろしく、愛莉栖ちゃん」
 鉱二は、初めて会ったときと同じ様に、愛莉栖の右手を恭しく取ると、その甲に口づけた。
「……これは、友愛の印。今日から僕はあなたの友達。覚えててね? 」
「うん。……ありがとう、鉱二」
愛莉栖は、穏やかな声で応えると、にっこりと微笑んだ。

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Specialty

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